検事とは?検察官との関係・仕事・なり方を簡単に解説

検事とは何か、検察官との関係や仕事、なり方を紹介する記事のアイキャッチ。法廷の検察官席の机と書類

当サイトの記事は編集部が法令や法務省・検察庁・最高裁判所などの公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。個別の事件や法律相談には対応していません。記事内に司法試験・予備試験の情報や対策講座への案内を含む場合があります。

ニュースで「検事が起訴した」と聞いても、警察や裁判官と何が違うのか、ぱっと説明できる人は少ないですよね。

結論から言うと、検事とは事件を調べて、裁判にかけるかどうかを決め、裁判で証拠を示す役目の国家公務員です。法律上は「検察官」という大きなくくりの中の、一つの呼び名なんです。

この記事を読めば、検事が「何者で」「何をして」「どうやってなるのか」が一通りつかめます。

目次

検事とは?簡単にいうと「裁判にかけるかを決める人」

先に結論

検事は、警察から送られてきた事件などを調べ、裁判にかける(起訴する)かどうかを決める人です。裁判では、証拠を出して事実を証明する側に立ちます。

検事とは何か、簡単にひと言でまとめると「事件を裁判に出すかどうかを決める専門家」です。

日本では、事件を裁判にかける「起訴」ができるのは、原則として検察官だけです。刑事訴訟法には「公訴は、検察官がこれを行う。」と書かれています。

『警察が逮捕したら、そのまま裁判になるんじゃないの?』と思った方も多いはずです。実は、警察には起訴する権限がありません。

警察が調べた事件は検察官に送られ、検事がもう一度調べてから、起訴するか、しない(不起訴)かを決めるんです。

検事の意味を3行でいうと

検事という言葉の意味を、まず3行で押さえておきましょう。

見る角度検事とは
法律の上では検察庁法が定める検察官の官名の一つ
身分としては検察庁などで働く国家公務員
裁判の中では被告人の罪を証拠で証明し、刑について意見を言う側

子どもに説明するなら「悪いことをしたかもしれない人を、裁判にかけるか決める人だよ」と言うと伝わりやすいですよ。

「検察」と「検事」はどう使い分ける?

「検察」は、検察官や検察庁という組織全体を指す言い方です。一方の「検事」は、そこで働く人の官名です。

例えば次のような使い分けになります。

  • 「検察が捜査している」=検察庁という組織が動いている
  • 「担当の検事が取り調べた」=一人の検察官が仕事をしている

検事と検察官はどう違う?「検事官」とは言わない

検察官は5つの官名の総称

検察庁法では「検察官は、検事総長、次長検事、検事長、検事及び副検事とする。」と決められています。検事は、この5つのうちの1つです。

『検事と検察官って、同じじゃないの?』と感じますよね。ふだんの会話ではほぼ同じ意味で使われますが、法律の上では少し違います。

「検察官」は大きな箱の名前で、その中に5つの官名が入っているイメージです。

官名どんな立場か(検察庁法など)
検事総長最高検察庁の長で、すべての検察庁の職員を指揮監督する
次長検事最高検察庁に属し、検事総長を補佐する
検事長高等検察庁の長
検事最高検察庁・高等検察庁・地方検察庁などで捜査・公判を担当する
副検事区検察庁で捜査・公判などを担当する

検事総長・次長検事・検事長は、内閣が任免し、天皇が認証する官職です。検事と副検事は、法務大臣が職を補します。

なお、検索すると「検事官」という言い方を見かけることもありますが、法律上の官名は「検事」か「検察官」です。書類や作文では「検事」「検察官」と書いておくと安心ですよ。

違いをもう少し詳しく知りたい方は検察官と検事の違いと検察官とは?公益の代表者の意味を読んでみてください。副検事については副検事とは?検事との違いで紹介しています。

検事正や次席検事は官名ではない

ニュースでは「検事正」「次席検事」という言葉もよく出てきます。これは官名ではなく、役職の名前です。

検察庁法では、地方検察庁ごとに検事正を一人置き、一級の検事をあてると決められています。次席検事は、法務省の訓令で高等検察庁と地方検察庁に置かれる役職です。

役職の並びは検事の階級・役職一覧、トップの仕事は検事総長とはや検事正とはにまとめています。

検事は何をする人?捜査・起訴・公判の3つの仕事

仕事は大きく3つ

検事の仕事は「事件を調べる(捜査)」「裁判にかけるか決める(起訴・不起訴)」「裁判で証明する(公判)」の3つに分けると分かりやすいです。

検察庁のホームページでは、検事は「捜査・公判及び裁判の執行の指揮監督などの仕事を行っています」と説明されています。

裁判が終わった後、決まった刑がきちんと行われるよう見届けるのも、検察官の役目なんです。

事件が検事に届いてから判決までの流れ
  1. 警察などが事件を調べ、書類や証拠とともに検察官に送る(送致)
  2. 検事が記録を読み、被疑者や参考人から話を聞いて調べ直す
  3. 必要なら警察に足りない点の捜査を指示する
  4. 証拠をもとに、起訴するか不起訴にするかを決める
  5. 起訴した事件では、法廷で証拠を出し、最後に刑について意見を言う(論告求刑)
事件が警察から検事に送られ、捜査、起訴の判断、公判へと進む流れを示した図解

現場検証のように現場へ行くこともある

検事は、机で記録を読んでいるだけではありません。検察庁のパンフレットでは、刑事部の検事が「犯行現場の状況を確かめに行ったり」すると紹介されています。

ニュースで聞く現場検証のように、検事が自分の目で事件現場を確かめる場面もあるんです。

検事採用情報サイトによると、殺人などの重大な事件で警察が捜査本部を置いた時は「本部係検事」が担当します。一報を受けると、検察事務官と一緒にすぐ現場へ向かうそうです。

検事を補佐する検察事務官

検事の仕事は、一人では回りません。いつも隣で補佐しているのが検察事務官です。

検察庁法では、検察事務官は「検察官を補佐し、又はその指揮を受けて捜査を行う」とされています。取り調べに立ち会う「立会事務官」は、検察官とペアで二人三脚の仕事をすると紹介されています。

検察事務官の仕事となり方は検察事務官とは?検事との違いで紹介しています。

捜査と公判で担当が分かれることもある

大きな検察庁では、捜査を担当する刑事部と、裁判を担当する公判部に分かれています。汚職や企業犯罪を自ら捜査する特別捜査部(特捜部)は、東京・大阪・名古屋の地方検察庁にだけ置かれています。

1日の流れまで知りたい方は検察官の仕事内容をわかりやすく、分担の違いは捜査検事と公判検事の違いが参考になります。

警察・裁判官・弁護士とはどう違う?

刑事事件には、検事のほかにも警察官、裁判官、弁護士が関わります。『みんな同じ側の人じゃないの?』と思われがちですが、役目ははっきり分かれています。

立場刑事事件での主な役目
警察官最初に捜査をして、被疑者を逮捕したり証拠を集めたりする
検事送られた事件を調べ直し、起訴するかを決め、法廷で証明する
裁判官証拠と双方の言い分を調べ、有罪かどうかと刑の重さを決める
弁護士被疑者・被告人の弁護人として、正当な権利と利益を守る

例えばこんなイメージです。

「この人を裁判にかけるべきかな?」
「それを決めるのが検事。有罪かどうかを決めるのは裁判官なんだよ」

裁判所のホームページでも、検察官が起訴して初めて、裁判所はその事件の裁判を行うと説明されています。違いを詳しく知りたい方は検事と裁判官の違いも見てみてください。

「何者か・何をするか・どうなるか」3つの問いで見る検事の地図

知りたいことから読む記事を選ぶ

検事について調べたいことは、ほとんどが「何者か」「何をするか」「どうなるか」の3つの問いに入ります。自分の疑問がどれに近いかで、次に読む記事を選んでみてください。

検事の話は、制度・仕事・進路が入り混じっていて、どこから読めばいいか迷いますよね。そこで、このサイトの記事を3つの問いで並べ直してみました。

検事を「何者か」「何をするか」「どうなるか」の3つの問いに分け、それぞれで分かることを示した図解
問いここで分かること代表的なテーマ
何者か(定義)検察官との関係、官名、役職、英語での呼び方検察官との違い、英語表記
何者か(身分)国家公務員としての立場、給料の決まり方、転勤年収・給料、転勤
何をするか(仕事)捜査・起訴・公判、警察や弁護士との違い警察との違い、弁護士との違い
何をするか(手続き)送致、取り調べ、求刑の意味検察官送致、求刑
どうなるか(進路)司法試験から任官までの道、年数、大学なるには、大学・学部

表の「代表的なテーマ」は、次の記事で詳しく紹介しています。

こんな疑問ならここから

例えば、調べ学習で「検事って何?」と聞かれている中学生なら、この記事と検察官とはで十分まとめられます。

ニュースで手続きが気になった社会人なら、仕事と手続きの記事から読むと分かりやすいですよ。

自分の疑問がどこに入るか確かめよう
  • 言葉の意味や呼び方が気になる時は「何者か」
  • 給料・転勤・働き方が気になる時は「何者か(身分)」
  • ニュースの手続きの意味が気になる時は「何をするか」
  • 目指したい、進路を決めたい時は「どうなるか」

検事は公務員?国家公務員としての身分と働く場所

検事は一般職の国家公務員

国家公務員法で特別職として挙げられている職に、検察官は入っていません。つまり検事は、一般職の国家公務員です。

『検事って公務員なの?』という疑問も多いですよね。結論から言うと、検事は国家公務員で、国の機関である検察庁などで働いています。

ただ、ふつうの国家公務員とは違う決まりもあります。検察庁法は、検察官の職務と責任の特殊性から、国家公務員法の特例を定めています。

項目検事の決まり(法律)
身分一般職の国家公務員
給料「検察官の俸給等に関する法律」の俸給月額表で決まる
定年検察庁法で65歳(令和7年4月1日以降はすべての検察官)
身分保障定年や適格審査などの場合を除き、意思に反して官を失わない(懲戒処分は別)
残業代超過勤務手当は支給しないと法律に書かれている

給料の具体的な金額や号俸の仕組みは検事の年収・給料で紹介しています。働き方は検事の働き方は激務?が参考になります。

検事が働く検察庁は4種類

検察庁は、裁判所に対応して4種類あります。検察庁のホームページによると、庁の数は次のとおりです。

検察庁対応する裁判所数
最高検察庁最高裁判所1庁(東京)
高等検察庁高等裁判所8庁(ほかに支部6庁)
地方検察庁地方裁判所・家庭裁判所50庁(ほかに支部203庁)
区検察庁簡易裁判所438庁

内閣人事局の統計では、令和7年7月1日現在の在職者は検事1,983人、副検事797人です。この検事の数には、法務省など検察庁以外で働く検事も含まれています。

検事は全国転勤があり、法務省で国の裁判を担当する「訟務検事」として働く人もいます。詳しくは検察庁の種類と検事の人数や訟務検事とはを見てみてください。

検事になるには?資格と道のり

入口は司法試験

検察庁は「検事になるためには、司法試験に合格する必要があります」と説明しています。合格後、約1年間の司法修習を終えて試験に受かると、検事・裁判官・弁護士のどれかになる資格が得られます。

検事を目指したいと思っても、どこから始めればいいか分かりにくいですよね。大まかな道のりは次のとおりです。

検事になるまでの主な流れ
  1. 法科大学院を修了するか、予備試験に合格して、司法試験の受験資格を得る
  2. 司法試験に合格する
  3. 約1年間の司法修習を受け、修習の中で検察の実務も学ぶ
  4. 修習の終わりの試験(いわゆる二回試験)に合格する
  5. 検事に採用され、法務大臣から辞令を受ける
検事を目指す人が司法試験に向けて勉強する机の様子を表した写真風の画像

検察庁は「年齢については特段の制限はありません」「学歴についての制限はありません」としています。法学部でなくても、高校生からでも、目指す道は開かれているんです。

法務省の発表では、第78期の検事任官者(令和8年3月26日付け)は68人で、任官日現在の平均年齢は26.3歳でした。

副検事から検事になる道もある

司法試験を通らずに検察官になる道もあります。検察事務官などの一定の公務員が選考を通ると副検事になれ、副検事を3年以上務めて検察官特別考試に通ると検事になれます。

この道は副検事になるにはと特任検事とはで紹介しています。弁護士から検事になる道は元検事の弁護士(ヤメ検)とはにまとめました。

よくある思い込み

「法学部に入らないと検事になれない」と思われがちですが、検察庁は学歴の制限はないと説明しています。大事なのは、司法試験までの道筋を早めに知っておくことです。

全体の流れと年数は検事になるには?検察官になるまでの道のり、試験の中身は検察官と司法試験、修習から任官までは司法修習から検事任官までで詳しく紹介しています。

検事を目指すなら、入口は司法試験(予備試験)です。独学でも、法科大学院でも、講座を使ってもかまいません。早めに試験の全体像と勉強の進め方を知っておくと、選べる道がぐっと広がりますよ。

司法試験・予備試験の情報

検事をめざすなら、まずは司法試験・予備試験の全体像から

検事になる入口は司法試験です。受験資格の3つのルート(法科大学院・在学中受験・予備試験)や試験の日程を公式の案内で確かめて、自分に合う勉強の進め方を考えてみてください。

無料司法試験・予備試験の案内を見る

試験の日程・受験資格は法務省の最新の案内でご確認ください。

勉強の始め方や講座の比べ方は司法試験・予備試験の勉強の始め方、自分に合うか知りたい方は検察官に向いている人とは?も読んでみてください。

検事についてよくある疑問

知恵袋でよく見かける質問に答えます

検事を目指す人や、手続きが気になる人から寄せられやすい疑問を、公的な情報をもとにまとめました。

若いうちに検事になっている人が多いのはなぜ?

「将来検事になりたい。幹部の経歴を見ると、20代前半で任官している人が多いのはなぜ?」という質問がありました。

これは、司法試験と司法修習を終えるとすぐ任官できる仕組みだからです。法務省の発表では、第78期の任官者の最年少は23歳、最年長は36歳でした。

つまり、早く試験に受かれば20代前半で検事になれますし、社会人を経て30代で任官する人もいるんです。

被害者でも検事から呼び出されることはある?

「被害者なのに、検事から電話や呼び出しが来ることはあるの?」という疑問も見かけます。

検事は起訴するかどうかを決めるために、被疑者だけでなく、被害者や目撃者などの参考人からも話を聞きます。被害者として事情を聞かれることは、ふつうにあり得ることなんです。

全国の地方検察庁には「被害者支援員」がいて、相談や法廷への付き添いなどを手伝っています。処分の結果などを知らせる被害者等通知制度もあります。

自分の件で具体的にどうすればいいか迷った時は、法テラスや弁護士会などの窓口で弁護士に相談してみてください。手続きの一般的な流れは検事の取り調べとはで紹介しています。

検事が仕事に向いていない時、辞めさせる仕組みはある?

「検事総長などを辞めさせる仕組みはあるの?」という質問もありました。

検察庁法には「検察官適格審査会」という仕組みがあります。すべての検察官について3年ごとに審査が行われ、職務に適さないと議決されると、官を免じられることがあります。

また、検事が不起訴にした事件について、市民から選ばれた検察審査会が、その判断がよかったかを審査する制度もあります。

昇進はどのくらいの頻度で進む?

検事は、新任検事、新任明け検事、A庁検事、シニア検事と段階を踏むと、検事採用情報サイトで紹介されています。ただ「何年ごとに昇進する」という一般的な決まりは公表されていません。

役職の並び方は検事の階級・役職一覧で見てみてください。

よくある質問

検事とは簡単にいうと何をする人ですか?

事件を調べて、裁判にかけるかどうかを決め、裁判で証拠を示して罪を証明する人です。起訴できるのは原則として検察官だけです。

検事は公務員ですか?

はい、一般職の国家公務員です。ただし定年や身分保障などで、検察庁法による特例があります。

検事と検察官は同じ意味ですか?

ふだんはほぼ同じ意味で使われます。法律の上では、検察官は検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事の5つの総称で、検事はその1つです。

検事になるにはどんな資格が必要ですか?

基本は、司法試験に合格して司法修習を終えることです。副検事を3年以上務めて検察官特別考試に通る道もあります。

検事は事件現場に行くこともありますか?

あります。刑事部の検事が犯行現場の状況を確かめに行くことや、重大事件で本部係検事が現場へ向かうことが紹介されています。

まとめ

この記事の要点
  • 検事とは、事件を調べて起訴するかを決め、裁判で証明する役目の人
  • 検察官は5つの官名の総称で、検事はその1つ
  • 仕事は捜査・起訴の判断・公判の3つで、検察事務官が補佐する
  • 検事は一般職の国家公務員で、定年は65歳
  • なるための入口は司法試験で、学歴や年齢の制限はない
検事ドットコム

検事ドットコム 編集部

検事・検察官の仕事や役職、検事・副検事・検察事務官のなり方と試験、送致・起訴・公判といった刑事手続きのしくみを、法令と公的機関の情報をもとにわかりやすく整理している情報サイトです。 公式サイト

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