検事の取り調べとは?呼び出された時の流れと、録音・録画の制度

検事の取り調べの流れと、呼び出し・調書・録音録画の制度を紹介する記事のアイキャッチ。執務室の机に置かれた書類と六法全書

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検察庁から連絡が来た、家族が検事の取り調べを受けることになった。そんな時は、何をされるのか分からず不安になりますよね。

結論から言うと、検事の取り調べとは、検察官が起訴するかどうかを決めるために、被疑者や参考人から話を聞く手続きです。黙秘権の告知や調書の確認、録音・録画など、手続きのルールが法律で決められています。

この記事を読めば、取り調べを受ける立場ごとの違いと、呼び出しから調書までの一般的な流れ、録音・録画の制度が分かります。

目次

検事の取り調べとは?警察の取り調べとの違い

先に結論

検察庁の説明では、警察は刑事事件の第一次的な捜査を行い、検察庁は起訴・不起訴を決めるための捜査を行います。検察官の取り調べは、その判断のために、被疑者や参考人から直接話を聞く手続きです。

刑事訴訟法では、検察官や検察事務官、司法警察職員は、捜査に必要な時に被疑者の出頭を求めて取り調べられると決められています。被疑者とは、罪を犯した疑いで捜査を受けている人のことです。

警察で話を聞かれた後、検察庁でも呼ばれることがあります。『警察で全部話したのに、どうしてまた?』と思いますよね。

検察庁のQ&Aでは、検察官は起訴・不起訴を決めるため、改めて事情を聴く必要がある場合があると説明しています。警察と検察では、取り調べをする段階と目的が違うんです。

比べる点警察の取り調べ検事(検察官)の取り調べ
受け持つ段階事件の最初の捜査送致を受けた後の捜査
主な目的事件の事実と証拠を集める起訴するかどうかを決める
処分を決められるか起訴・不起訴は決められない起訴・不起訴を決める
一緒にいる職員警察官立会事務官(検察事務官)

立会事務官も一緒にいる

検察庁のパンフレット(令和6年度版)では、検察事務官が検察官とペアになって仕事をしていると紹介されています。取り調べへの立会いや、書類の作成・点検も立会事務官の仕事です。

検察官と警察の役割分担そのものは検事と警察(刑事)の違いで、送致の流れは検察官送致(送検)とは?でくわしく紹介しています。

被疑者として?参考人として?立場で変わる取り調べ

ここでの結論

検察官の取り調べは、疑いを受けている「被疑者」と、それ以外の「参考人」で決まりが少しずつ違います。どちらの立場で呼ばれているかを知っておくと、制度の説明が読みやすくなります。

検察官の取り調べというと、疑われている人だけのものと思われがちです。実は、被害者や目撃者などの参考人から話を聞くことも、刑事訴訟法で決められています。

ここでは、2つの立場を並べてみますね。

項目被疑者として参考人として
誰のことか罪を犯した疑いで捜査を受けている人被疑者以外で事情を聴かれる人(被害者・目撃者など)
根拠の条文刑事訴訟法第198条刑事訴訟法第223条
出頭の決まり逮捕・勾留されていなければ、出頭を拒んだり途中で退去したりできる被疑者と同じ決まりが準用される
黙秘権の告知取り調べの前に、意思に反して話す必要がないと告げる告知の規定は被疑者についてのもの
調書の確認閲覧か読み聞かせで誤りがないか確かめる被疑者と同じ決まりが準用される
録音・録画の義務対象事件で逮捕・勾留されている時法律上の義務の対象ではない
被疑者と参考人のそれぞれについて、出頭・黙秘権の告知・調書の確認・録音録画の対象を見比べるチェックリストの図解

出頭の決まりは、身柄があるかで変わる

刑事訴訟法第198条では、被疑者は逮捕・勾留されている場合を除き、出頭を拒んだり、出頭後いつでも退去したりできると書かれています。参考人にもこの決まりが準用されています。

ただ、これは条文の内容を紹介しているだけです。呼び出しにどう対応するかは、事情によって変わるので、弁護士に相談して決めてみてください。

参考人が話さない時の証人尋問

参考人についての決まりも1つ紹介しますね。犯罪の捜査に欠かせない知識を持つことが明らかな人が、出頭や供述を拒んだ時の仕組みです。

この時は、第1回の公判期日の前に限り、検察官が裁判官にその人の証人尋問を請求できます(刑事訴訟法第226条)。検察官の尋問という言葉は、この場面や、法廷での証人尋問で使われます。

取り調べの前に確かめておきたいこと
  • 自分が被疑者として呼ばれたのか、参考人として呼ばれたのかを確かめる
  • 呼び出しの日時と場所、連絡してきた検察庁の部署を控えておく
  • 自分の事情が逮捕・勾留されている場合か、そうでないかを確かめる
  • 被疑者として呼ばれた時は、事前に弁護士に相談しておく

検察官から呼び出しを受けた時の一般的な流れ

ここでの結論

在宅の事件でも、勾留中の事件でも、取り調べの骨組みは同じです。黙秘権の告知、話を聞く、調書を確認する、という順番が刑事訴訟法で決められています。

『呼び出しって、何から始まるの?』という方も多いはずです。ここでは、条文で決まっている部分を中心に、一般的な順番を並べてみますね。

検察官の取り調べの一般的な流れ
  1. 検察庁から出頭を求める連絡が来る(勾留中なら検察庁で取り調べを受ける)
  2. 取り調べの前に、意思に反して話す必要がないことを告げられる
  3. 検察官が事件について話を聞く(立会事務官が同席する)
  4. 話した内容が調書にまとめられる
  5. 調書を読んでもらうか見せてもらい、誤りがないか確かめる
  6. 誤りがないと申し立てた時は、署名押印を求められる

呼び出しの連絡を受けたら、まず控えておくこと

連絡を受けた時は、慌ててしまって内容を聞き漏らしがちです。日時や場所、担当の部署、どの事件についての呼び出しかを、落ち着いて控えておきましょう。

例えばこんな確かめ方なら、聞きたいことがまとまりやすくなります。

「出頭する日時と場所、担当の部署をもう一度教えてください。どの事件についてのお話か、私は被疑者と参考人のどちらの立場か、教えていただけますか」

控えたメモは、弁護士に相談する時にもそのまま役に立ちます。

控えておくこと理由
日時と場所行き違いを防ぐため
担当の検察庁と部署問い合わせ先を確かめるため
どの事件についてか弁護士に相談する時に伝えるため
被疑者か参考人か立場で決まりが違うため

勾留されている時の取り調べ

身柄事件では、警察から送致を受けた検察官が、まず被疑者の弁解を聞く手続きをします。検察庁のパンフレットで紹介されている検事の1日でも、午前に送致があり、弁解録取の後に勾留を請求するか判断する流れが書かれています。

勾留の期間は、刑事訴訟法で請求の日から10日、やむを得ない時は通じて10日まで延長できると決められています。時間の決まりは検察官送致の記事で表にしています。

検察官に呼び出しを受けた時の相談先

勾留状が出た被疑者で、貧困などの理由で弁護人を選べない時は、裁判官に国選弁護人を頼む制度があります(検察庁Q&A「被疑者国選弁護人制度」)。

日本弁護士連合会は、弁護人の最も重要な役割はえん罪の防止だと説明しています。

一人で判断しないために

この記事は制度の一般的な説明で、取り調べで何をどう話すかの助言はしていません。呼び出しを受けた時の具体的な対応は、弁護士に相談してみてください。法テラスや各地の弁護士会で、相談先の案内を受けられます。

検察官の調書とは?署名・押印のこと

ここでの結論

調書とは、取り調べで話した内容を書面にまとめたものです。刑事訴訟法では、調書を見せるか読み聞かせて誤りがないか確かめ、直してほしいと言われたら書き加えると決められています。

検察官の調書は、裁判で証拠として使われることがある書類です。だからこそ、作り方にルールがあるんです。

刑事訴訟法第198条では、被疑者の話は調書にまとめることができると定めています。調書は被疑者に閲覧させるか読み聞かせて、誤りがないかを問います。

増やしたり減らしたり変えたりしてほしいと申し立てがあれば、その話も調書に書きます。誤りがないと申し立てた時は署名押印を求められますが、拒んだ場合はこの限りでないとされています。

調書の決まり刑事訴訟法の中身
調書にまとめる被疑者の話は調書に録取できる(第198条第3項)
内容の確認閲覧させるか読み聞かせ、誤りがないか問う(第198条第4項)
直してほしい時増減変更の申立てがあれば、その話を記載する(同)
署名押印誤りがないと申し立てた時に求められる。拒んだ時はこの限りでない(第198条第5項)
参考人の場合上の決まりが準用される(第223条第2項)

読み聞かせの時の様子をイメージしてみる

調書の確認は、取り調べの最後に行われることが多い手続きです。検察官か立会事務官が調書を読み上げるか、書面を見せて、内容に誤りがないかを聞きます。

例えば、こんなやりとりになります。

「今の内容で間違いはありませんか」
「この部分の言い方が、話したことと少し違うように思います」

刑事訴訟法では、こうした増減変更の申立てがあれば、その話を調書に書くと決められています。気になる点を聞き流さずに伝えられるよう、制度として用意されているんです。

調書が証拠になる時の決まり

被告人の話をまとめた書面で署名か押印があるものは、不利益な事実を認める内容などの時に証拠にできます。ただ、任意にされたものでない疑いがある時は、証拠にできません(第322条第1項)。

憲法と刑事訴訟法では、強制や脅迫による自白、不当に長く拘束された後の自白などは証拠にできないとされています。自白だけが唯一の証拠の時は、有罪にされないとも決められています。

黙秘権の根拠

憲法第38条第1項には「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」とあります。刑事訴訟法第198条第2項は、取り調べの前にこの趣旨を被疑者に告げると決めています。

検察官の取り調べの録音・録画の制度

ここでの結論

取り調べの録音・録画は、刑事訴訟法第301条の2による制度で、令和元年6月1日に始まりました。対象の事件で逮捕・勾留されている被疑者を取り調べる時は、原則として録音と録画を同時に行います。

『検察官の取り調べは、全部録音されているの?』という疑問はよく見かけます。答えは、法律で義務になっているのは対象の事件の、逮捕・勾留されている被疑者の取り調べです。

録音・録画が義務になる事件

刑事訴訟法第301条の2第1項では、対象の事件を3つ定めています。

録音・録画の対象事件(刑事訴訟法第301条の2)
  • 死刑または無期拘禁刑に当たる罪の事件
  • 短期1年以上の拘禁刑に当たる罪で、故意の犯罪行為で被害者を死亡させた事件
  • 警察などから送られた事件以外の事件(検察官の独自捜査の事件)

1つめと2つめは、おおむね裁判員裁判の対象事件と同じ範囲です。3つめは検察官と検察事務官だけに義務があり、警察は1つめと2つめが対象です。

録音・録画をしなくてよい例外

義務があっても、例外として録音・録画をしない場合が4つ決められています。

例外内容
機器の故障など機器の故障その他やむを得ない事情がある時
被疑者が拒んだ時記録を拒んだことなどで、十分に話せないと認める時
指定暴力団の事件指定暴力団の構成員による犯罪の時
加害のおそれ被疑者や親族への加害などのおそれで、十分に話せないと認める時
録音・録画が義務になる3つの事件と、例外になる4つの場合を並べて示した図解

公判での意味と、実施の状況

対象事件で、検察官が被告人に不利な話の調書を証拠として出し、その任意性に異議が出たとします。この時、検察官は取り調べの始めから終わりまでの記録の取調べを請求し、しなければ調書の請求は却下されます。

最高検察庁の資料では、令和7年度の身柄事件の被疑者の取り調べ111,344件のうち、録音・録画をしたのは108,961件です。法務省の資料によると、検察は知的障害者などの事件でも運用として録音・録画をしています。

検事の取り調べは怖い?よくある疑問

ここでの結論

知恵袋では「警察と検察の取り調べの違い」「どちらが厳しいか」「怖いか」という質問がよく読まれています。取り調べの雰囲気は人や事件で違い、一般的には言えません。ここでは、制度として決まっていることから答えます。

知恵袋に寄せられた質問の中から、閲覧の多いものを要約して答えてみますね。

疑問1:警察と検察の取り調べでは、聞かれることが違う?

「検察官の取り調べは、警察とまったく違うことを聞かれるのか」という質問です。かなり多く読まれています。

検察官は、警察が集めた証拠をもとに、起訴するかどうかを決める立場で話を聞きます。検事採用サイトでは、捜査担当の検事はまず「どんな事件なのか」と、さまざまな可能性を考えると紹介されています。

同じ事件について聞くので内容が重なることはあります。ただ、処分を決めるための確認として、改めて聞かれることがあるんです。

疑問2:検察官は怖い?取り調べは厳しい?

「警察の取り調べと検事調べはどちらが厳しいか」「女性の検事の取り調べは怖いか」という質問です。検察官の取り調べが怖いと感じる方は多いですよね。

取り調べの進め方は、事件や担当する人によって違い、厳しさを一般的に比べられる公的な資料はありません。性別で変わるという資料もありません。

一方で、黙秘権の告知や調書の確認、任意でない自白は証拠にならないという決まりは、誰が担当しても同じです。『どう扱われるか分からない』という不安があるなら、制度の決まりを知っておくだけでも少し落ち着けるはずです。

疑問3:取り調べは全部、録音・録画されている?

「検察官の取り調べは、すべて録音・録画しているのか」という質問です。

法律で義務になっているのは、対象の3種類の事件で、逮捕・勾留されている被疑者の取り調べです。在宅の事件や参考人の取り調べは、法律上の義務の対象ではありません。

疑問4:調書への署名押印を拒んだらどうなる?

「取り調べの最後の調書に、押印を拒否した場合はどうなるのか」という質問です。

刑事訴訟法第198条第5項は、誤りがないと申し立てた時に署名押印を求めることができ、拒絶した場合はこの限りでないと定めています。拒んだ後に手続きがどう進むかは事件ごとに違うので、弁護士に相談してみてください。

質問の扱いについて

質問は内容を要約しています。個別の事件や、取り調べで何を話すかについては答えていません。

取り調べから見える検事の仕事

ここでの結論

取り調べは、検察官が証拠を自分で確かめ、起訴するかを決めるための大事な仕事です。話を聞く力と、手続きのルールを守る姿勢の両方が求められます。

検察庁は、検察官が自ら被疑者や参考人を取り調べ、証拠を直接集めていることを日本の検察の特色の1つとしています。取り調べは、検事の仕事の中心にあるんですね。

検事採用サイトで紹介されている刑事部の検事の1日でも、送致された事件の記録を読み、弁解録取の手続きをして、その後に目撃者や被疑者の取り調べをする流れが書かれています。事件の関係者の都合で、夜に取り調べをすることもあるそうです。

ただ、取り調べは仕事の一部です。記録の検討、警察への補充捜査の指示、上司への報告、法廷での立証まで、検事の1日はいろいろな仕事でできています。

検察官の仕事全体は検察官の仕事内容で、検事という仕事そのものは検事とは?で紹介しています。

検察官の仕事に興味を持った方は、入口になる司法試験・予備試験のことも少し知っておくと、将来を考える材料になります。独学や法科大学院も含めて、どんな道があるかを比べてみてください。

司法試験・予備試験の情報

検事をめざすなら、まずは司法試験・予備試験の全体像から

検事になる入口は司法試験です。受験資格の3つのルート(法科大学院・在学中受験・予備試験)や試験の日程を公式の案内で確かめて、自分に合う勉強の進め方を考えてみてください。

無料司法試験・予備試験の案内を見る

試験の日程・受験資格は法務省の最新の案内でご確認ください。

よくある質問

検事の取り調べとは何ですか?

検察官が、起訴するかどうかを決めるために被疑者や参考人から話を聞く手続きです。刑事訴訟法第198条(被疑者)と第223条(参考人)に決まりがあります。

検察官からの呼び出しには出頭しなければいけませんか?

刑事訴訟法では、逮捕・勾留されていない被疑者や参考人は、出頭を拒んだり途中で退去したりできると書かれています。ただ、どう対応するかは事情によるので、弁護士に相談して決めてみてください。

取り調べは録音されていますか?

法律で義務になっているのは、裁判員裁判の対象とおおむね同じ範囲の事件と検察官の独自捜査の事件で、逮捕・勾留されている被疑者の取り調べです。例外として録音・録画しない場合も決められています。

検察官の尋問と取り調べは違いますか?

取り調べは捜査の段階で話を聞く手続きです。尋問は、法廷での証人尋問や、第1回公判期日の前に検察官が裁判官に請求する証人尋問(刑事訴訟法第226条)などで使われる言葉です。

取り調べの時に相談できる窓口はありますか?

弁護士への相談が基本です。法テラスや各地の弁護士会で相談先の案内を受けられます。勾留された被疑者には、条件に当てはまれば国選弁護人を頼む制度もあります。

まとめ

この記事の要点
  • 検事の取り調べは、起訴するかどうかを決めるために話を聞く手続き
  • 被疑者と参考人で、根拠の条文や録音・録画の扱いが違う
  • 取り調べの前に、意思に反して話す必要がないことが告げられる
  • 調書は内容を確かめてから署名押印を求められ、拒むこともできる
  • 録音・録画は令和元年6月1日からの制度で、対象事件の身柄の被疑者が中心
  • 具体的な対応は、弁護士や法テラスなどの窓口に相談する
検事ドットコム

検事ドットコム 編集部

検事・検察官の仕事や役職、検事・副検事・検察事務官のなり方と試験、送致・起訴・公判といった刑事手続きのしくみを、法令と公的機関の情報をもとにわかりやすく整理している情報サイトです。 公式サイト

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