検察事務官とは?検事との違い・仕事内容と、なるための公務員試験

検事の事務官である検察事務官の仕事と、検事との違い・なり方を紹介する記事のアイキャッチ。執務室の机のファイルと書類

当サイトの記事は編集部が法令や法務省・検察庁・最高裁判所などの公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。個別の事件や法律相談には対応していません。記事内に司法試験・予備試験の情報や対策講座への案内を含む場合があります。

「検事の事務官」と聞いて、書類を整理する事務の人なのか、捜査にも関わる人なのか、気になっていませんか。

結論から言うと、検事の事務官とは「検察事務官」のことで、検察官を補佐し、その指揮を受けて捜査もする検察庁の職員です。司法試験ではなく、国家公務員の一般職試験から目指せるのが大きな特徴なんです。

この記事を読めば、検察事務官とは何か、検事との違い、なるための試験と、その先のキャリアまでつかめます。

目次

検察事務官とは?検察官を支え、自らも捜査する職員

先に結論

検察庁法では「検察事務官は、上官の命を受けて検察庁の事務を掌り、又、検察官を補佐し、又はその指揮を受けて捜査を行う」と決められています。いわば、検察の仕事を一緒に動かす相棒のような存在です。

検事の事務官とは、正式には「検察事務官」といいます。検察官と同じ検察庁で働く国家公務員です。

『事務官って、事務作業だけをする人じゃないの?』と思いますよね。実は、刑事訴訟法でも「検察事務官は、検察官の指揮を受け、捜査をしなければならない」とされていて、捜査の担い手でもあるんです。

検察庁のパンフレットによると、全国の検察庁で働く約12,000人のうち、検察官は約3,000人、検察事務官は約9,000人です。人数で見ると、検察庁の大部分は検察事務官が支えているんですね。

同じパンフレットでは、令和5年度は検事・検察事務官のどちらも、採用者の約4割が女性だったと紹介されています。男女を問わず目指しやすい職場と言えそうです。

検察事務官の3つの職場

法務省の採用案内では、検察事務官の職場は大きく3つの部門に分けられています。

部門主な仕事
捜査・公判部門刑事事件の捜査、起訴や裁判への立会い
検務部門事件の受理や処理の手続き、拘禁刑などの執行の手続き、罰金などの徴収
事務局部門総務や会計などの事務

捜査や裁判の現場だけでなく、刑の執行や庁舎の運営まで、検察のあらゆる場面に検察事務官がいるんです。

立会事務官という働き方

捜査・公判部門で、検察官とペアを組んで働く検察事務官は「立会事務官」と呼ばれます。検察庁のパンフレットでは「検察官とペアになって二人三脚で仕事をしています」と紹介されています。

取調べへの立会い、事件現場の見分、関係機関との連絡や調整、書類の作成や点検などが主な仕事です。

例えば、検察官と立会事務官の朝は、こんなやり取りから始まります。

「今日の取調べは午前と午後の2件ですね。書類はそろっています」
「ありがとう。午後の件は、先に記録を一緒に確認しておこう」

検察事務官の英語表記

法務省の法令用語日英標準対訳辞書では、検察事務官は「public prosecutor’s assistant officer」と訳されています。検察官は「public prosecutor」です。

検事と検察事務官の違いを、捜査・公判の分担表でくらべる

決めるのは検察官、一緒に動くのが検察事務官

起訴するかどうかを決めるのは検察官です。検察事務官は、その判断に必要な捜査や手続きを、検察官の指揮のもとで一緒に進めます。

検事と検察事務官の違いは、まず「なり方」と「決める権限」にあります。基本の違いを表にしてみました。

くらべる点検事(検察官)検察事務官
なり方司法試験に合格し、司法修習を終える国家公務員の一般職試験に合格し、採用される
起訴・不起訴の判断できるできない(検察官を補佐する)
捜査自ら捜査できる検察官の指揮を受けて捜査する
級一級または二級二級または三級

事件の流れで見る分担表

検察官と検察事務官が、事件のどの場面で何をするのかを、流れに沿って分担表にしました。これは法令と検察庁の説明をもとに、この記事でまとめたものです。

事件の場面検察官(検事・副検事)検察事務官
事件の受理配点された事件の記録を読む事件を受け付け、記録や証拠品を受け入れる(検務)
取調べ被疑者や参考人から話を聞く取調べに立ち会い、書類を作る
現場の確認現場の状況を確かめる一緒に現場を見分する
処分の決定起訴・不起訴を決め、上司の決裁を受ける処分に必要な書類を作り、点検する
裁判法廷で立証し、意見を述べる裁判の準備や立会いを支える
裁判の後裁判の執行を指揮する刑の執行の手続きや罰金の徴収を行う(検務)
検察官と検察事務官が、事件の受理から裁判の後まで、それぞれの場面で何を担当するかをくらべた分担表の図解

こうして並べると、検察事務官は事件の始まりから終わりまで関わっていることが分かりますよね。

例えば、警察から事件が送られてきた日を考えてみましょう。検察事務官が事件を受け付けて記録を整え、検察官がそれを読んで取調べの方針を決めます。

取調べの場では検察官が質問し、立会事務官がそのそばで書類を作ります。一つの事件を、二人で分担しながら前に進めていくイメージなんです。

逮捕と逮捕状について

刑事訴訟法では、検察事務官も、裁判官が出した逮捕状で被疑者を逮捕できるとされています。ただし、逮捕状を請求できるのは検察官と司法警察員で、検察事務官は条文に含まれていません。

「検察官事務取扱検事」という言葉について

ときどき「検察官事務取扱検事」や「検察官事務取扱検察事務官」という言葉を見かけることがあります。

検察庁法の附則では、法務大臣は当分の間、検察官が足りないため必要と認める時は、区検察庁の検察事務官に、その庁の検察官の事務を取り扱わせることができるとされています。

この人は、検察官の仕事を任されていても、法律の上ではあくまで検察事務官です。こうした呼び方が公式に使われているかは、この記事の調べでは確認できていません。

検事の仕事そのものは検察官の仕事内容と1日の流れで紹介しています。

検察事務官になるには?国家公務員一般職試験からの採用

一般職試験(大卒程度・高卒者)に合格して、検察庁の面接へ

検察庁の説明では、検察事務官になるには、国家公務員採用一般職試験の大卒程度試験か高卒者試験に合格することが必要です。合格した後、採用を希望する検察庁の面接などを経て採用されます。

検察事務官は、司法試験ではなく公務員試験から目指す仕事です。

『法学部じゃないと不利なのかな?』と心配な方もいるかもしれません。福岡高等検察庁のQ&Aでは、出身学部などによる有利・不利は「一切ありません」と説明されています。

検察事務官になるまでの流れ
  1. 国家公務員採用一般職試験(大卒程度か高卒者)に申し込む
  2. 第1次試験と第2次試験を受け、最終合格する
  3. 採用を希望する検察庁(地方検察庁ごと)に問い合わせる
  4. 検察庁の面接などを受ける
  5. 検察事務官として採用される

2026年度の試験日程

人事院の案内から、2026年度の日程をまとめました。日程は年度ごとに変わるので、出願の前に最新の案内を確かめておきましょう。

試験受付期間第1次試験第2次試験最終合格者の発表
大卒程度試験2月19日から3月23日5月31日7月8日から7月24日8月12日
高卒者試験6月12日から6月24日9月6日10月14日から10月23日11月17日

受験できる人

試験受験資格の主な条件(2026年度)
大卒程度試験(教養以外の区分)1996年4月2日から2005年4月1日生まれの人、またはそれ以降に生まれ、大学などを卒業した人・卒業見込みの人など
大卒程度試験(教養区分)1996年4月2日から2006年4月1日生まれの人など
高卒者試験2024年4月1日以降に高校などを卒業した人と、2027年3月までに卒業見込みの人

採用は地方検察庁ごとに行われます。働きたい地域の検察庁の採用情報を、早めに確かめておくと安心ですよ。

採用後の給与と働き方

法務省の採用案内では、初任給は一般職(大卒)で278,400円、一般職(高卒)で240,360円です(地域手当を含む、令和8年4月1日現在)。

項目内容(法務省の採用案内)
俸給表採用時は行政職俸給表(一)、大卒はおおむね1年、高卒はおおむね5年の勤務の後に公安職俸給表(二)
期末・勤勉手当年間約4.65か月
勤務時間1日7時間45分、週休2日制
年次休暇20日

研修も用意されています。福岡高等検察庁のQ&Aでは、新しく採用された職員の初等科研修、採用4年目ごろの中等科研修、さらに専修科研修のほか、外国語や簿記、デジタルフォレンジックの研修も紹介されています。

採用からのキャリアを時間軸で見る:副検事・検事への道

事務官のまま昇進する道と、検察官になる道

検察事務官には、事務官として役職を上がっていく道と、試験に合格して副検事・検事になる道があります。どちらも法務省や検察庁の資料で紹介されている正式なキャリアです。

検察事務官として採用された後のキャリアを、時間の流れで並べてみました。

時期の目安主な出来事
採用直後初等科研修を受け、各部門に配属される
採用4年目ごろ中等科研修を受ける
経験を積んだ後主任捜査官、検務専門官、係長などの役職へ
受験資格を得た後副検事選考を受けて、副検事になる道がある
副検事を3年以上務めた後検察官特別考試に合格して、検事になる道がある
検察事務官として採用されてから、研修・昇進・副検事選考・検察官特別考試までのキャリアを時間の流れで示した図解

事務官として昇進する道

法務省の採用案内では、部門ごとに次のような役職が挙げられています。

部門主な役職
捜査・公判部門主任捜査官、統括捜査官、首席捜査官
検務部門検務専門官、統括検務官、検務監理官
事務局部門係長、課長、事務局長

副検事・検事になる道

福岡高等検察庁のQ&Aでは、検察事務官として一定の経験を積むと副検事選考試験の受験資格を得られ、合格すると副検事になれると紹介されています。

さらに副検事として一定の経験を積んだ後、検察官特別考試に合格すると検事に任命されます。副検事選考の中身は副検事になるには(副検事選考試験)で、副検事そのものは副検事とは?で紹介しています。

「数年たてば自然に検察官になれる」わけではない

副検事選考も検察官特別考試も、合格者はかぎられています。検察官を目指すなら、仕事と並行して法律の勉強を続ける覚悟が必要です。

公務員試験・司法試験の準備をどう進める?判断材料とチェックリスト

「どの入口から検察を目指すか」を先に決める

検察の仕事を目指す入口は、一般職試験から検察事務官になる道と、司法試験(予備試験)から検事になる道の2つが中心です。どちらを選ぶかで、勉強の中身も期間も大きく変わります。

『検察事務官と検事、どっちを目指せばいいんだろう?』と迷う方も多いはずです。まずは2つの入口をくらべてみましょう。

くらべる点一般職試験から検察事務官へ司法試験(予備試験)から検事へ
受験の条件年齢や学歴の区分ごとの受験資格法科大学院の修了か予備試験の合格など(予備試験は受験資格の制限なし)
試験の中身公務員試験の科目(人事院の受験案内で確認)憲法・民法・刑法などの法律科目が中心
合格した後検察庁の面接を経て採用約1年の司法修習を経て、検事に任官する道
検察官になるまで副検事選考・検察官特別考試に合格する修習を終えれば、検事採用の対象になる
検察事務官や検事を目指して公務員試験・司法試験の準備を進めるイメージとして、勉強机に問題集と法律書が広げられた写真

勉強の始め方

一般職試験を目指すなら、まず人事院の受験案内で、自分が受ける区分の試験科目と日程を確かめるところから始めてみてください。

司法試験(予備試験)を目指すなら、憲法・民法・刑法など基本の科目から手をつけるのが一般的です。どちらの道でも、最初に「試験の全体像」をつかんでおくと、勉強の計画が立てやすくなりますよ。

独学・予備校・通信講座のくらべ方

進め方向いている人気をつけたいこと
独学自分で計画を立てて続けられる人情報の集め方や、進み具合の確かめ方を工夫する
予備校(通学)決まった時間に通うほうが続く人通う時間と、仕事や学校との両立
通信講座自分のペースで学びたい人、社会人動画を見るだけで終わらせず、問題を解く時間をとる

どの方法にも向き不向きがあります。独学も法科大学院も、正当な選択肢の一つです。予備校や通信講座の選び方は検察官を目指す人の勉強の始め方と講座の選び方でくわしく紹介しています。

社会人・学生の両立のしかた

学生なら、授業の空き時間や長期休みをまとめて勉強に回しやすいですよね。社会人の場合は、出勤前や休日など、毎週決まった時間を勉強にあてるのが続けるコツです。

立場時間の作り方の例つまずきやすいところ
高校生部活の後や休日に、決まった時間だけ机に向かう学校の定期テストと試験の時期が重なる
大学生授業の空き時間と長期休みに、まとめて進める予定が自由なぶん、後回しにしやすい
社会人出勤前の短い時間と休日に分けて進める仕事が忙しい時期に計画が崩れる

例えば社会人なら、平日は「条文や用語を読むだけ」、休日は「問題を解いて復習する」と役割を分けると続けやすくなります。

『毎日長時間なんて無理…』と感じる方も、まずは短い時間を毎日続けることから始めてみてください。

計画倒れを防ぐために

最初から完ぺきな計画を立てようとすると、少しの遅れで気持ちが切れてしまいます。月に一度、進み具合を見直す日を決めておくと立て直しやすいですよ。

準備を始める前に確かめたいこと
  • 検察事務官と検事、どちらの仕事に近づきたいか
  • 受けたい試験の受験資格に、自分の年齢や学歴が当てはまるか
  • 受けたい年度の試験日程と、出願の締め切り
  • 勉強にあてられる時間が、週にどのくらいあるか
  • 独学・予備校・通信講座のどれが、自分の生活に合うか

司法試験・予備試験・法科大学院のルートは検察官と司法試験で、検事になる道全体は検事になるには?で紹介しています。

検察事務官として現場を知ってから検察官を目指すのも、最初から検事を目指すのも、どちらも立派な道です。検事を目指すなら入口は司法試験(予備試験)なので、早めに試験の全体像と勉強の進め方を知っておくと選択肢が広がりますよ。

司法試験・予備試験の情報

検事をめざすなら、まずは司法試験・予備試験の全体像から

検事になる入口は司法試験です。受験資格の3つのルート(法科大学院・在学中受験・予備試験)や試験の日程を公式の案内で確かめて、自分に合う勉強の進め方を考えてみてください。

無料司法試験・予備試験の案内を見る

試験の日程・受験資格は法務省の最新の案内でご確認ください。

検察事務官についてよくある疑問

知恵袋で多い質問に答えます

検察事務官について、よく読まれている質問を選んで答えます。

40歳くらいになると、年収は平均より多い?

「検事の事務官の平均年収は、40歳くらいになると平均より少し多いくらいもらえるの?」という質問は、とても多く読まれています。

結論から言うと、検察事務官の年齢別の年収は公表されていません。法務省の採用案内で確かめられるのは、初任給(大卒278,400円、高卒240,360円、地域手当を含む、令和8年4月1日現在)と、期末・勤勉手当が年間約4.65か月ということです。

また、一定の経験の後は公安職俸給表(二)が適用されます。年齢だけで年収を決めつけず、俸給表と昇進のしくみから考えてみてください。

検察事務官から副検事への道はある?

「地方検察庁に内定した高校3年生。検察事務官から副検事になる道はある?」という質問もありました。

道はあります。検察事務官として一定の経験を積むと副検事選考の受験資格を得られ、合格すれば副検事になれます。

高卒者試験で採用された場合、公安職俸給表(二)が適用されるのはおおむね5年の勤務の後です。受験資格の条件とあわせて、長い目で計画を立てておくと安心ですよ。

検察事務官は、みんな副検事や検事を狙っている?

「検察事務官のほとんどは、将来の副検事や検事への登用を狙っているの?」という質問も見かけます。

どのくらいの人が副検事を目指しているかは、公表されていません。検察事務官には、捜査官や検務官、事務局の役職へと昇進していく道もあります。

副検事選考の最終合格者は、令和7年度で27人です。検察事務官の人数(約9,000人)とくらべても、副検事になるのは一部の人だと分かりますよね。

よくある質問

検事の事務官とは何ですか?

正式には検察事務官といい、検察官を補佐し、その指揮を受けて捜査も行う検察庁の職員です。

検察官と検察事務官の違いは何ですか?

検察官は起訴・不起訴を決める権限を持ち、司法試験などを経て任命されます。検察事務官は一般職試験から採用され、検察官を補佐します。

検察事務官になるには、どの試験を受けますか?

国家公務員採用一般職試験の大卒程度試験か高卒者試験に合格し、検察庁の面接などを経て採用されます。

検察事務官に学部の有利・不利はありますか?

福岡高等検察庁のQ&Aでは、出身学部などによる有利・不利は一切ないと説明されています。

検察事務官から検事になれますか?

副検事選考に合格して副検事になり、3年以上務めて検察官特別考試に合格すれば、検事に任命される道があります。

まとめ

この記事の要点
  • 検事の事務官とは検察事務官のことで、検察官を補佐し、指揮を受けて捜査もする
  • 検事との違いは、なり方と、起訴・不起訴を決める権限の有無
  • なるには国家公務員一般職試験(大卒程度・高卒者)に合格し、検察庁に採用される
  • 事務官として昇進する道と、副検事・検事を目指す道がある
検事ドットコム

検事ドットコム 編集部

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