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ニュースで「○○地検の検事正」と聞いて、『検事正って、検事と何が違うの?』と思ったことはありませんか。
結論から言うと、検事正とは、各地方検察庁に1人だけ置かれる地検のトップです。官名は「検事」のままで、一級の検事が就く役職の名前なんです。
この記事を読めば、検事正の役割と、ナンバー2の次席検事、高検のトップの検事長との違いが分かります。
検事正とは?地方検察庁のトップを簡単にいうと
検察庁法第9条は、各地方検察庁に検事正を1人置き、一級の検事を充てると決めています。検事正は、その地検の庁務をまとめ、地検と管内の区検察庁の職員を指揮監督します。
『検事正は、検事の上の階級?』と思いますよね。ここが少しややこしいところです。
検察官の官名は、検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事の5つです。検事正はこの5つに入っておらず、検事が就く役職として置かれています。
| 項目 | 検事正の中身 | よりどころ |
|---|---|---|
| 置かれる所 | 各地方検察庁に1人 | 検察庁法第9条第1項 |
| 誰が就くか | 一級の検事 | 検察庁法第9条第1項 |
| 役目 | 庁務をまとめ、地検と管内の区検の職員を指揮監督する | 検察庁法第9条第4項 |
| 官名 | 検事 | 検察庁法第3条 |
| 英語の表記 | Chief Prosecutor | 法令用語日英標準対訳辞書 |
地方検察庁は、各都道府県庁の所在地と、北海道の函館・旭川・釧路を合わせた50か所にあります。つまり検事正も、全国の地検ごとに1人ずついることになります。
検事正は全国に何人いる?
検事正は各地方検察庁に1人なので、地検の数と同じだけいることになります。地方検察庁は全国に50庁です。
地検には本庁のほかに支部もあり、検察庁のホームページでは全国で203か所とされています。支部には、支部に勤める検察官のうちから法務大臣が命ずる支部長が置かれます。
検事正が受け持つ範囲
検事正が指揮監督するのは、自分の地検の職員だけではありません。その地検に対応する裁判所の管轄区域にある区検察庁の職員も含まれます。
例えばこんなイメージです。県庁所在地にある地検の検事正は、同じ県の中にある区検察庁の職員にも目を配る立場にいます。
2人以上の検事、または検事と副検事がいる区検察庁には、上席検察官が1人置かれます(検察庁法第10条)。上席検察官は検事が就く役職で、区検のまとめ役にあたります。
検事正・次席検事・検事長の早見表(どの庁の・何をする)
検事正は地検のトップ、次席検事は高検や地検のナンバー2、検事長は高検のトップです。「どの庁の」「何をする」の2つで並べると、3つの違いがひと目で分かります。
似た名前が3つ並ぶと、こんがらがってしまいますよね。まずは早見表で全体を見てみましょう。

| 比べるところ | 検事正 | 次席検事 | 検事長 |
|---|---|---|---|
| どの庁の | 地方検察庁 | 高等検察庁と地方検察庁 | 高等検察庁 |
| 庁の中の立場 | トップ | ナンバー2 | トップ |
| 何をする | 庁務をまとめ、地検と管内の区検の職員を指揮監督 | 庁の長を助けて庁務をまとめ、その命を受けて職員を指揮監督 | 庁務をまとめ、高検と管内の地検・区検の職員を指揮監督 |
| 官名か役職か | 役職(官名は検事) | 役職 | 官名 |
| 誰が決めるか | 一級の検事を充てる | 法務大臣が命ずる | 内閣が任免し、天皇が認証 |
| よりどころ | 検察庁法第9条 | 検察庁事務章程第2条 | 検察庁法第8条・第15条 |
いちばん大きな違いは、検事長だけが官名だという点です。検事長は検事総長・次長検事と同じく、内閣が任免し、天皇が認証する一級の検察官です。
庁ごとのトップとナンバー2を並べると
『最高検や区検にも、トップとナンバー2はいるの?』と気になりますよね。検察庁の種類ごとに並べてみると、次のようになります。
| 検察庁 | 数 | トップ | ナンバー2 |
|---|---|---|---|
| 最高検察庁 | 1庁 | 検事総長 | 次長検事 |
| 高等検察庁 | 8庁 | 検事長 | 次席検事 |
| 地方検察庁 | 50庁 | 検事正 | 次席検事 |
| 区検察庁 | 438庁 | 上席検察官(検事が2人以上いるなどの庁) | 公的な決まりは見当たらない |
最高検察庁のナンバー2だけは、次席検事ではなく次長検事という官名です。次長検事は検事総長を補佐し、総長が欠けた時などに職務を行います。
検事正と検事長の関係
検事長は、高等検察庁の長として、管内の地方検察庁や区検察庁の職員まで指揮監督します。つまり、検事正もその指揮監督を受ける側にいます。
高等検察庁は、東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松の8か所です。1つの高検の管内に、いくつもの地検と検事正がいる形ですね。
検事長のさらに上の検事総長については、検事総長とは?で紹介しています。
次席検事とは?検事正を支えるナンバー2
次席検事は、高等検察庁と地方検察庁に1名ずつ置かれる役職です。庁の長を助けて庁務をまとめ、その命を受けて職員を指揮監督します。法律ではなく、検察庁事務章程という訓令で置かれています。
『検事の次席って、検事正の次に偉い人のこと?』と気になっている方も多いはずです。その理解でほぼ合っています。
検察庁事務章程第2条は、高検と地検に次席検事を1名ずつ置き、その庁の検察官のうちから法務大臣が命ずると決めています。地検なら検事正を、高検なら検事長を助ける立場です。
次席検事がすること
事務章程の言い方を、かみくだいて並べてみますね。
- 庁の長(地検なら検事正)を助けて、庁務をまとめる
- 庁の長の命を受けて、その庁の職員を指揮監督する
- 同じく、管内の下の検察庁の職員も指揮監督する
地検の次席検事なら、管内の区検察庁の職員も指揮監督の範囲に入ります。検事正と同じ範囲を、検事正の命を受けて受け持つイメージです。
次席検事が法律に出てこない理由
検事正は検察庁法に書かれた役職ですが、次席検事は訓令で置かれた役職です。訓令は、法務省の中のきまりのことです。
同じように訓令で置かれている役職には、高検や地検の支部に置かれる支部長もあります(事務章程第3条)。
法令用語日英標準対訳辞書には、次席検事の見出し語はありません。検察庁の英語ページには、東京地検の次席検事を「Deputy Chief of Tokyo District Public Prosecutors Office」と表した文書名の例があります。
検事正は官名ではなく「職」:任命と63歳の決まり
検事正は、官名ではなく、検事が就く「職」です。検事の職は法務大臣が補します。検事正には63歳の決まりがあり、63歳に達すると他の職に移り、63歳以上の検事は検事正に就けません。
『検事正になる時は、新しく任命されるの?』という疑問もありますよね。法律の言葉で言うと、検事正には「任命」ではなく「補する」という言い方が使われます。
検察庁法第16条第1項は、検事長・検事・副検事の職は法務大臣が補すると決めています。検事正は、一級の検事を検事正という職に就ける形なんです。
一級の検事とはどんな人?
検事正には一級の検事が就きます。検事は一級か二級のどちらかで、一級になるには検察庁法第19条の資格が要ります。
代表的なのは、8年以上、二級の検事や判事補、弁護士などの職にあったことです。つまり検事正は、検事として経験を積んだ人が就く職だということですね。
検事正の63歳の決まり
検察庁法第9条には、年齢についての決まりもあります。
- 検事正の職にある検事が63歳に達したら、その翌日に他の職に補される
- 63歳に達した検事は、検事正の職に補されない
- 定年は、ほかの検察官と同じく65歳
次長検事と検事長にも、63歳に達した日の翌日に検事に任命されるという似た決まりがあります。いわゆる役職定年にあたる仕組みですね。

検事正が欠けた時は誰が代わる?
検事正に事故がある時や欠員がある時は、その庁の他の検察官が臨時に職務を行います。その順序は法務大臣が定めます(検察庁法第13条)。
「次席検事は法律で決まった検事正の代理」と思われることがあります。でも、検察庁法第13条が決めているのは、法務大臣の定める順序で他の検察官が職務を行うということです。次席検事の名前は、この条文には出てきません。
検察庁の官名と役職の全体は、検事の階級・役職一覧で紹介しています。
検事正についてよくある疑問(知恵袋より)
知恵袋では「検事と検事正はどちらが上?」「検事正は5つの官名とは別のもの?」「次席検事と検事正のほかに役職はある?」という質問がよく読まれています。官名と役職を分けると答えが見えてきます。
検事正に関係する質問の中から、テーマに合うものを要約して答えてみますね。
疑問1:検事と検事正は、どちらが上?
「検事と検事正は、どちらの方が階級が上なのか」という質問です。
官名で見ると、検事正も「検事」です。そのうえで、地検の長として、その地検と管内の区検の職員を指揮監督する立場にいます。
例えば同じ地検の中で見ると、捜査や公判を受け持つ検事たちの上に次席検事がいて、そのさらに上に検事正がいる形です。
なので、役職のない検事と比べれば検事正が上の立場です。『同じ検事なのに上下があるの?』と思うかもしれませんが、官名と役職を分けると分かりやすくなります。
疑問2:検事正は、5つの官名とは別のものなの?
「検察官の種類は検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事の5つなのに、検事正はこれとは違う考え方なのか」という質問です。
はい、別のものです。5つは検察庁法第3条の官名で、検事正は検察庁法第9条で地検に置かれる職です。
例えばこんな言い方をすると分かりやすくなります。「官名は検事、職は○○地検の検事正」です。
疑問3:次席検事と検事正のほかに、どんな役職がある?
「検事の役職は、次席検事と検事正ぐらいしか知らない。ほかにもあるのか」という質問です。
法令や訓令で確かめられる役職には、区検察庁の上席検察官や、高検・地検の支部に置かれる支部長があります。このほか、刑事部・公判部などの部ごとの担当もあります。
部の担当については、捜査検事と公判検事の違いで紹介しています。
検事を目指す人へ
検事正のような立場も、まずは検事として任官するところから始まります。検事を目指すなら、入口は司法試験(予備試験)です。
法科大学院で学ぶ道も、予備試験から受ける道もあります。早めに試験の全体像と勉強の進め方を知っておくと、選択肢が広がりますよ。
司法試験・予備試験の情報
検事をめざすなら、まずは司法試験・予備試験の全体像から
検事になる入口は司法試験です。受験資格の3つのルート(法科大学院・在学中受験・予備試験)や試験の日程を公式の案内で確かめて、自分に合う勉強の進め方を考えてみてください。
無料司法試験・予備試験の案内を見る試験の日程・受験資格は法務省の最新の案内でご確認ください。
検事そのものについては検事とは?で、地検や区検の数は検察庁の種類と検事の人数で紹介しています。
よくある質問
検事正とは何ですか?
各地方検察庁に1人置かれる地検のトップです。一級の検事が就く役職で、地検の庁務をまとめ、地検と管内の区検察庁の職員を指揮監督します。
検事正と次席検事の違いは何ですか?
検事正は地検のトップで、次席検事はそのナンバー2です。次席検事は高検と地検に1名ずつ置かれ、庁の長を助けて庁務をまとめます。
検事正と検事長はどちらが上ですか?
検事長は高等検察庁の長で、管内の地方検察庁の職員まで指揮監督します。検事正も検事長の指揮監督を受ける側にいます。
次席検事はどうやって決まりますか?
検察庁事務章程により、その庁の検察官のうちから法務大臣が命じます。法律ではなく訓令で置かれている役職です。
検事正は何歳までできますか?
63歳に達すると、その翌日に他の職に移ります。また、63歳に達した検事は検事正に就けません。定年はほかの検察官と同じ65歳です。
まとめ
- 検事正は各地方検察庁に1人置かれる地検のトップ
- 官名は検事のままで、一級の検事が就く職
- 次席検事は高検と地検のナンバー2で、訓令で置かれている
- 検事長は高検のトップで、内閣が任免し天皇が認証する官名
- 検事正は63歳で他の職に移り、定年は65歳





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