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ニュースで「検事長」「検事正」「次席検事」と聞いて、『検事の階級ってどうなっているの?』と思ったことはありませんか。
結論から言うと、検事の階級と呼ばれているものは「法律で決まった官名」と「庁の中の役職」の2階建てです。警察のように階級の名前が一列に並んでいるわけではないんです。
この記事を読めば、検察官の種類の一覧と役職の一覧、序列の見方、出世ルートの考え方が分かります。
検事の階級とは?結論は「官名」と「役職」の2階建て
1階は、検察庁法で決まった検察官の官名です。検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事の5つがあります。2階は、検事正・次席検事・上席検察官・支部長といった、庁の中で受け持つ役職です。
『検事正って、検事より上の階級じゃないの?』と思いますよね。実は、検事正は官名ではなく、検事が就く役職の名前なんです。
この2つを混ぜてしまうと、一覧を見てもこんがらがってしまいます。まずは2階建ての全体を見ておきましょう。

| 階 | 中身 | 決めているもの | 例 |
|---|---|---|---|
| 2階 | 庁の中の役職 | 検察庁法・検察庁事務章程 | 検事正、次席検事、上席検察官、支部長 |
| 1階 | 検察官の官名 | 検察庁法第3条 | 検事総長、次長検事、検事長、検事、副検事 |
1階の官名には「一級」「二級」という級もあります。級も合わせると、検事の種類はかなり細かく分かれて見えますよね。
「階級」は法律の言葉ではない
検察庁法の条文には、検察官の「階級」という言葉は出てきません。法律が使っているのは「官」と「級」、そして「職」です。
この記事でも、よく使われる言い方に合わせて「階級」と呼びますね。中身は官名と級と役職のことだと思って読んでみてください。
「検察官」は5つの官名をまとめた呼び名で、「検事」はそのうちの1つです。検事総長や副検事も検察官ですが、官名としての「検事」ではありません。くわしくは検察官と検事の違いで紹介しています。
1階:法律で決まった検察官の種類5つ(一覧)
検察庁法第3条は「検察官は、検事総長、次長検事、検事長、検事及び副検事とする」と決めています。このうち検事総長・次長検事・検事長の3つは、内閣が任免し、天皇が認証する官です。
検察官の一覧を、級と任命のしかた、置かれる庁で並べてみますね。人数は内閣人事局の統計で、令和7年7月1日現在の在職者数です。
| 官名 | 級 | 任命のしかた | 主に置かれる庁 | 人数 |
|---|---|---|---|---|
| 検事総長 | 一級 | 内閣が任免し、天皇が認証 | 最高検察庁 | 1人 |
| 次長検事 | 一級 | 内閣が任免し、天皇が認証 | 最高検察庁 | 1人 |
| 検事長 | 一級 | 内閣が任免し、天皇が認証 | 高等検察庁 | 8人 |
| 検事 | 一級または二級 | 認証はない | 最高検・高検・地検など | 1,983人 |
| 副検事 | 二級 | 認証はない | 区検察庁 | 797人 |
検事長の8人は、東京高等検察庁の検事長1人と、その他の検事長7人を合わせた数です。検事の人数には、法務省など検察庁以外で働く検事も含まれています。
5つの官名はそれぞれ何をする?
条文の言い方を、かみくだいて紹介しますね。
- 検事総長:最高検察庁の長として、すべての検察庁の職員を指揮監督する
- 次長検事:最高検察庁で検事総長を補佐し、総長が欠けた時などは代わりに職務を行う
- 検事長:高等検察庁の長として、管内の地検・区検の職員まで指揮監督する
- 検事:最高検・高検・地検などで、捜査や公判、裁判の執行の指揮監督を行う
- 副検事:区検察庁で、捜査や公判、裁判の執行の指揮監督を行う
検事総長について、もっと知りたい方は検事総長とは?をどうぞ。副検事については副検事とは?で紹介しています。
一級と二級のちがい
検察庁法第15条では、検事総長・次長検事・検事長は一級です。検事は一級または二級で、副検事は二級です。
一級になるには、たとえば8年以上、二級の検事や判事補、弁護士などの職にあったことが条件になります(検察庁法第19条)。同じ「検事」でも、経験を積むと一級になる道があるということですね。
一級になる資格をもう少しくわしく
検察庁法第19条が挙げている一級の資格を、かみくだいて並べてみますね。どれか1つに当てはまれば、一級の検察官に任命できる資格になります。
- 8年以上、二級の検事・判事補・簡易裁判所判事・弁護士の職にあった
- 最高裁判所長官・最高裁判所判事・高等裁判所長官・判事の職にあった
- 司法修習を終えるなどした後、8年以上、法務省の事務次官などの決められた職にあった
- 司法修習を終えるなどした資格があり、1年以上一級官吏の職にあった
1つめの在職年数と3つめの在職年数は、通算できることになっています。いろいろな職を経験した人でも、年数を合わせて数えられるということですね。
2階:検察庁の中の役職一覧(検事正・次席検事など)
役職は、官名とは別に、どの庁でどんな立場を受け持つかを表します。検事正は地方検察庁の長、次席検事は高検や地検の長を助ける立場、上席検察官は区検察庁のまとめ役です。
『次席検事と検事正のほかに、どんな役職があるの?』という疑問もよく見かけます。法令や訓令で確かめられる検事の役職を並べてみますね。
| 役職 | 置かれる所 | 誰が就くか | よりどころ |
|---|---|---|---|
| 検事正 | 各地方検察庁に1人 | 一級の検事 | 検察庁法第9条 |
| 次席検事 | 高等検察庁と地方検察庁に各1名 | その庁の検察官から法務大臣が命ずる | 検察庁事務章程第2条 |
| 上席検察官 | 検事が2人以上いるなどの区検察庁に1人 | 検事 | 検察庁法第10条 |
| 支部長 | 高検の支部・地検の支部 | 支部に勤務する検察官から法務大臣が命ずる | 検察庁事務章程第3条 |
ここで目を向けたいのは、次席検事と支部長が法律ではなく訓令で置かれている点です。検事正と上席検察官は、検察庁法そのものに書かれています。
検事正と次席検事の関係
検事正は、地方検察庁の庁務をまとめ、その庁と管内の区検察庁の職員を指揮監督します。次席検事は、その検事正を助けて庁務をまとめる立場です。
いわば地検のトップとナンバー2の関係ですね。くわしい違いは検事正とは?で紹介しています。
上席検察官と支部長はどんな立場?
上席検察官は、区検察庁に置かれる役職です。2人以上の検事、または検事と副検事がいる区検察庁に1人ずつ置かれ、検事が就きます。
支部長は、高等検察庁や地方検察庁の支部に置かれる役職です。例えば地方検察庁は本庁のほかに全国で203か所の支部があり、それぞれの支部をまとめる人がいるイメージです。
部ごとの担当もある
検察庁には、刑事部・公判部・特別捜査部などの部も置かれています。検察庁の規模によって、置かれている部の名前や数は変わります。
例えば最高検察庁には、総務部・監察指導部・刑事部・公安部・公判部があります。部の役割は捜査検事と公判検事の違いで紹介しています。
「検事正」「次席検事」を官名と思ってしまうことがよくあります。でも、どちらも検察官が就く役職の名前です。官名で見ると、検事正は「検事」です。
序列はどう決まる?検察官のトップから順に見てみよう
検察官の序列に、法律で決まった一覧表はありません。ただ、指揮監督の関係、任命のしかた、俸給月額を見ると、上下の関係がつかめます。検察官のトップは検事総長です。
『検察官の偉い順を知りたい』という方も多いはずです。ここでは、法律から読み取れる3つの物差しで見てみますね。
物差し1:誰が誰を指揮監督するか
検察庁法では、検事総長がすべての検察庁の職員を指揮監督します。検事長は高検の管内、検事正は地検とその管内の区検の職員を指揮監督します。
つまり、最高検、高検、地検、区検の順に、上の庁の長が下の庁まで目を配る形です。庁の種類と数は検察庁の種類と検事の人数で紹介しています。
例えばこんな場面です。ある区検察庁の職員から見ると、上に地検の検事正がいて、その上に高検の検事長、さらに上に検事総長がいる形になります。
物差し2:俸給月額
俸給の額でも、上下の関係が見えます。令和7年4月1日から適用の俸給表では、次のとおりです。
| 区分 | 俸給月額 |
|---|---|
| 検事総長 | 1,528,000円 |
| 東京高等検察庁検事長 | 1,358,000円 |
| 次長検事 | 1,250,000円 |
| その他の検事長 | 1,250,000円 |
| 検事1号 | 1,224,000円 |
| 検事20号 | 276,300円 |
| 副検事1号 | 604,000円 |
| 副検事17号 | 257,800円 |
検事は1号から20号、副検事は1号から17号まで号が分かれています。給料のくわしい話は検事の年収・給料で紹介しています。
表を見ると、検事総長がいちばん高く、次が東京高等検察庁の検事長です。次長検事とその他の検事長は同じ額になっています。
物差し3:トップが欠けた時の代わり
検察庁法第13条では、検事総長・次長検事、検事長、検事正に事故や欠員がある時は、その庁の他の検察官が代わりに職務を行います。その順序は法務大臣が定めます。
なお、検事総長が欠けた時などに職務を行うのは次長検事です(検察庁法第7条第2項)。
法務大臣は検察官を一般に指揮監督できます。ただし、個々の事件の取調べや処分については、検事総長だけを指揮できると決められています(検察庁法第14条)。
検事の出世ルートとキャリア:エリートコースは公表されている?
検察官のキャリアは、採用サイトで「新任検事、新任明け検事、A庁検事、シニア検事」と段階が紹介されています。一方で、「検事の出世ルート」や「エリートコース」として決まった道は公表されていません。
『検事にも出世コースってあるの?』という方もいますよね。ここは、公的に分かることと分からないことを分けて見ていきます。
採用サイトで紹介されているキャリアの段階
検察庁の採用サイトでは、任官してからの流れを次のように紹介しています。年数はキャリアモデルの図にある例です。
- 1年目 新任検事:導入研修の後、東京本庁や大阪、名古屋、福岡など、決められた庁のいずれかに配属
- 2〜3年目 新任明け検事:A庁以外の地検本庁や大規模な支部に配置
- 4〜5年目 A庁検事:A庁に配置
- 6年目以降 シニア検事:適性や希望をふまえ、各検察庁、法務省・他省庁、留学などの経験を積む
- その後、幹部職などへ配置される

A庁とは、東京ブロック(東京本庁、同庁立川支部、横浜、さいたま、千葉)と、大阪、京都、神戸、名古屋の9庁のことです。A庁検事までは、公平性を重視した異動になっています。
「赤レンガ組」「エリートコース」は公式の言葉?
『検察官の赤レンガ組って何?』という疑問を見かけることもあります。ただ、この呼び方は法務省・検察庁の公式な説明には出てきません。
同じように「検察官のエリートコース」も、公的に決まった道ではありません。公的に言えるのは、シニア検事以降に法務省や他省庁で働く道もある、ということまでです。
「この部署に行けば検事総長になれる」といった話は、公的な裏づけがないものがほとんどです。キャリアの話を調べる時は、採用サイトや法令など、出どころがはっきりした情報で確かめてみてください。
役職に年齢の決まりがある
役職には、年齢による決まりもあります。検察庁法では、次長検事・検事長・検事正は63歳になると、その役職から外れることになっています。
| 役職・官名 | 63歳の決まり | 定年 |
|---|---|---|
| 検事総長 | 63歳の決まりはない | 65歳 |
| 次長検事・検事長 | 63歳に達した日の翌日に検事に任命される | 65歳 |
| 検事正 | 63歳に達した日の翌日に他の職に補される | 65歳 |
| 検事・副検事 | 役職の決まりはない | 65歳 |
63歳に達した人は、次長検事や検事長に任命できないことも決まっています(検察庁法第20条第2項)。定年は、令和7年4月1日以降、すべての検察官が65歳です。
幹部にはどのくらい女性がいる?
内閣府の調べでは、令和7年7月1日現在、検事総長・次長検事・検事長の10人のうち女性は3人で、30.0%です。指定職相当以上の検事は1,337人で、うち女性は310人(23.2%)です。
指定職相当以上の検事とは、一般の国家公務員の指定職俸給表が適用される人に準じた扱いを受ける検事のことです。女性の検察官については女性の検事・検察官で紹介しています。
どの官名でも受ける適格審査
検察官は、官名にかかわらず、3年ごとに検察官適格審査会の定時審査を受けます(検察庁法第23条)。
ここで職務に適しないとされた場合の扱いは、官名で少し違います。検事総長・次長検事・検事長は審査会の議決と法務大臣の勧告を経て、検事と副検事は審査会の議決を経て、官を免じられることがあります。
副検事から検事への道もある
副検事として3年以上働き、検察官特別考試に合格すると、二級の検事になれます(検察庁法第18条第3項)。キャリアの入口は1つではないんです。
この道は特任検事とは?で紹介しています。
検察官の階級でよくある疑問(知恵袋より)
知恵袋では「検察官の階級はどんな仕組み?」「検事と検事正はどちらが上?」「地検より高検のほうが偉い?」という質問がよく読まれています。官名と役職を分けて考えると、すっきり答えられます。
閲覧の多い質問の中から、テーマに合うものを要約して答えてみますね。
疑問1:検察官の階級は、どんな仕組みになっているの?
「検察官の階級はどうなっているのか、分かりやすく知りたい」という質問です。
答えは、この記事の2階建てのとおりです。1階が5つの官名、2階が検事正や次席検事などの役職です。
例えばこんな言い方をすると分かりやすくなります。「官名は検事、役職は○○地検の検事正」という具合に、1人の検察官が2つの肩書きを持っているイメージです。
疑問2:検事と検事正は、どちらが上?
「検事と検事正は、どちらの階級が上なのか」「検事正は5つの官名と次元の違うものなのか」という質問です。
検事正は、一級の検事が就く地方検察庁の長の役職です。官名はどちらも「検事」なので、比べるなら「役職のない検事」と「地検の長である検事」の関係になります。
『じゃあ検事正のほうが上なんだね』と思った方、その感覚で大丈夫です。検事正は、その地検と管内の区検の職員を指揮監督する立場だからです。
疑問3:地方検察庁より、高等検察庁や最高検察庁のほうが偉いの?
「検察官にもランクがあるのか。地検よりも高検や最高検のほうが偉いのか」という質問です。
庁の長どうしで見ると、最高検の長の検事総長がすべての検察庁を、高検の長の検事長が管内の地検・区検を指揮監督します。この意味では、上の庁の長が下の庁に目を配る関係です。
ただ、高検にいる検事が地検にいる検事よりいつでも上、という決まりはありません。官名と役職で見るのがおすすめです。
検事を目指す人へ
階級の話を知ると、『自分もこの道に進めるかな』と気になってきますよね。どの役職に進むにしても、検事の入口は司法試験に合格して司法修習を終えることです。
司法試験の受験には、法科大学院を修了するか、予備試験に合格するかの道があります。独学も法科大学院も正当な選び方なので、早めに試験の全体像を知っておくと選択肢が広がりますよ。
司法試験・予備試験の情報
検事をめざすなら、まずは司法試験・予備試験の全体像から
検事になる入口は司法試験です。受験資格の3つのルート(法科大学院・在学中受験・予備試験)や試験の日程を公式の案内で確かめて、自分に合う勉強の進め方を考えてみてください。
無料司法試験・予備試験の案内を見る試験の日程・受験資格は法務省の最新の案内でご確認ください。
検事そのものについては検事とは?で、なるまでの道のりは検事になるには?で紹介しています。
よくある質問
検事の階級にはどんな種類がありますか?
法律で決まった官名は、検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事の5つです。これとは別に、検事正・次席検事・上席検察官・支部長などの役職があります。
検察官のトップは誰ですか?
検事総長です。最高検察庁の長として、すべての検察庁の職員を指揮監督します。任免は内閣が行い、天皇が認証します。
検事正と検事長はどちらが上ですか?
検事長は高等検察庁の長で、管内の地方検察庁の職員まで指揮監督します。検事正は地方検察庁の長なので、指揮監督の関係では検事長が上になります。
次席検事とは何ですか?
高等検察庁と地方検察庁に1名ずつ置かれ、庁の長を助けて庁務をまとめる役職です。検察庁事務章程という訓令で置かれ、法務大臣が命じます。
検事に出世ルートやエリートコースはありますか?
公表されている決まった出世ルートはありません。採用サイトでは、新任検事からシニア検事までの段階と、その後に幹部職などへ配置されるという流れが紹介されています。
まとめ
- 検事の階級は「官名」と「役職」の2階建てで考える
- 官名は検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事の5つ
- 役職には検事正・次席検事・上席検察官・支部長などがある
- 序列は指揮監督の関係と任命のしかた、俸給月額でつかめる
- 決まった出世ルートは公表されておらず、キャリアの段階だけが紹介されている





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