検事総長とは?役割・任命のしかた・定年と、検察のトップの仕事

検察のトップである検事総長の役割・任命のしかた・定年を紹介する記事のアイキャッチ。官庁街の建物と六法全書

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ニュースで「検事総長」という言葉を聞いて、『検察でいちばん偉い人なのは分かるけど、何をする人なの?』と思ったことはありませんか。

結論から言うと、検事総長は最高検察庁の長で、全国すべての検察庁の職員を指揮監督する検察のトップです。内閣が任命し、天皇が認証する官で、定年は65歳と法律で決まっています。

この記事を読めば、検事総長の仕事と任命のしかた、定年と退任のしくみ、検事総長になるには何が要るのかが分かります。

目次

検事総長とは?検察のトップを一言でいうと

先に結論

検事総長は、検察庁法が定める5つの検察官の官名のうちの1つです。最高検察庁の長として庁の仕事をまとめ、すべての検察庁の職員を指揮監督します。全国に1人だけの官名です。

『検事総長って、検事のいちばん上の人?』と思いますよね。実は、検事総長は「検事」とは別の官名なんです。

検察庁法第3条は、検察官を検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事の5つと決めています。検事総長はこの中の1つで、いちばん上に置かれる官名です。

検事総長の基本プロフィール

まずは、法律や公的な資料で分かることを1つの表にまとめてみますね。

項目中身よりどころ
所属最高検察庁検察庁法第7条
役目最高検察庁の長として庁務をまとめ、すべての検察庁の職員を指揮監督する検察庁法第7条第1項
級一級検察庁法第15条第1項
任命内閣が任免し、天皇が認証する検察庁法第15条第1項
定年65歳検察庁法第22条第1項
人数1人(令和7年7月1日現在)内閣人事局の統計
英語の表記Prosecutor General法令用語日英標準対訳辞書

英語の表記は、法務省の法令翻訳のデータベースにある訳語です。この訳は公定訳ではなく、法的な効力があるのは日本語の法令だけとされています。

認証官は全部で何人いる?

内閣が任免し、天皇が認証する検察官は、検事総長・次長検事・検事長の3つの官名です。内閣人事局の統計では、令和7年7月1日現在、この3つを合わせて10人です。

官名人数(令和7年7月1日現在)
検事総長1人
次長検事1人
東京高等検察庁検事長1人
その他の検事長7人

内閣府の調べでは、この10人のうち女性は3人で、30.0%です(令和7年7月1日現在)。

最高検察庁はどんな所?

検事総長がいる最高検察庁は、最高裁判所に対応する検察庁です。検察庁のホームページでは、東京に1か所だけあり、上告された事件などを扱うと説明されています。

最高検察庁には、総務部・監察指導部・刑事部・公安部・公判部が置かれています。検察庁の種類は検察庁の種類と検事の人数で紹介しています。

検事総長のすぐ下にいる次長検事

最高検察庁には、検事総長を補佐する次長検事もいます。検事総長に事故がある時や、検事総長が欠けた時は、次長検事がその職務を行います(検察庁法第7条第2項)。

任命・職務・定年の3点で、検事長・検事正と並べてみよう

ここでの結論

検事総長を「任命」「職務」「定年」の3点で見ると、検事長や検事正との違いがはっきりします。検事総長と検事長は内閣が任免する認証官、検事正は法務大臣が職に就ける役職です。

検察のトップを知るには、すぐ下の立場と並べるのがいちばんの近道です。高等検察庁の長である検事長と、地方検察庁の長である検事正と並べてみますね。

検事総長・検事長・検事正を、任命・職務・定年の3点で並べた組織図の図解
比べるところ検事総長検事長検事正
何の長か最高検察庁(1庁)高等検察庁(8庁)地方検察庁(50庁)
官名か役職か官名官名役職(官名は検事)
任命内閣が任免し、天皇が認証内閣が任免し、天皇が認証一級の検事を充てる
指揮監督の範囲すべての検察庁の職員その高検と管内の地検・区検の職員その地検と管内の区検の職員
63歳の決まりなし63歳に達した日の翌日に検事に任命される63歳に達した日の翌日に他の職に補される
定年65歳65歳65歳

表を縦に見ると、検事総長だけが「すべての検察庁」を受け持っていることが分かりますよね。また、63歳の決まりがないのも検事総長だけです。

指揮監督はどうつながっている?

検事総長は、全国の検察庁の職員を指揮監督します。検事長は高検の管内、検事正は地検とその管内の区検の職員を指揮監督します。

例えばこんなイメージです。ある地方検察庁の検事から見ると、上に検事正、その上に高検の検事長、さらに上に検事総長がいるという形になります。

検事長と検事正の違いは検事正とは?で、検察官の官名と役職の全体は検事の階級・役職一覧で紹介しています。

よくある勘違い

「検事総長は検事の中からいちばん偉い人が選ばれる役職」と思われがちです。でも検事総長は、検事正のような役職ではなく、法律で決まった独立した官名です。任免するのも法務大臣ではなく内閣です。

検事総長の仕事:最高検察庁の長として何をする?

ここでの結論

検事総長の仕事は、最高検察庁の庁務をまとめることと、すべての検察庁の職員を指揮監督することです。さらに、個々の事件について法務大臣から指揮を受ける相手は、検事総長だけと決められています。

『検察のトップって、毎日どんな仕事をしているの?』と気になる方もいるはずです。法律に書かれていることを中心に見ていきますね。

法律に書かれている検事総長の仕事

検察庁法の条文から、検事総長の役目を拾ってみます。

検事総長の役目(検察庁法より)
  • 最高検察庁の長として、庁務をまとめる(第7条第1項)
  • すべての検察庁の職員を指揮監督する(第7条第1項)
  • 個々の事件の取調べや処分について、法務大臣の指揮を受ける唯一の相手になる(第14条)
  • 検察官として、公訴を行い、裁判所に法の正しい適用を求めるなどの職務を持つ(第4条)

いちばん下の役目は、検察官に共通の職務です。検事総長も検察官の1人なので、公益の代表者としての役目を持っています。

法務大臣と検事総長の関係

検察庁法第14条では、法務大臣は検察官を一般に指揮監督できるとされています。ただし、個々の事件の取調べや処分については、検事総長だけを指揮できると決められています。

『大臣がいちいち事件に口を出せるの?』と思いますよね。条文は、事件ごとの指揮は検事総長を通す形にしているんです。

法務大臣ができること相手
検察官を一般に指揮監督する検察官全体
個々の事件の取調べ・処分について指揮する検事総長だけ

この仕組みで、検事総長は検察と法務大臣の間に立つ位置にいることになります。

検事総長に事故がある時は誰が代わる?

『検事総長が急に職務を行えなくなったら、検察はどうなるの?』と心配になりますよね。ここも法律で決まっています。

検事総長に事故がある時や、検事総長が欠けた時は、次長検事がその職務を行います(検察庁法第7条第2項)。さらに、検事総長と次長検事の両方に事故や欠員がある時は、最高検察庁の他の検察官が、法務大臣の定める順序で臨時に職務を行います(同第13条)。

検事総長の俸給と待遇

検事総長の俸給月額は、令和7年4月1日から適用の俸給表で1,528,000円です。改正前の令和6年法律第77号による表では1,486,000円でした。

俸給以外の給与は、特別職の職員の給与に関する法律の例によるとされています。年収の額は公表されていません。給料の仕組みは検事の年収・給料で紹介しています。

検事総長の定年と退任のしくみ

ここでの結論

検事総長の定年は65歳です。令和5年4月1日施行の改正の前も後も、検事総長は65歳のままでした。定年に達した時に退官し、国家公務員法の勤務延長の規定は検察官には適用されません。

検事総長の退任について調べている方は、『何歳で辞めるの?』『途中で辞めさせられることはあるの?』が気になっているはずです。ここは法律の条文で順番に確かめていきます。

定年は65歳、改正の前後で変わっていない

検察庁法第22条第1項は「検察官は、年齢が六十五年に達した時に退官する」と決めています。検事総長も、この決まりで65歳に達した時に退官します。

検察官の定年は、令和3年法律第61号による改正で引き上げられ、令和5年4月1日から施行されました。その流れを表にしてみますね。

時期検事総長その他の検察官
令和4年度まで65歳63歳
令和5年4月1日から令和7年3月31日まで65歳64歳
令和7年4月1日以降65歳65歳

検察庁のホームページでも、検察官の定年は令和4年度までは63歳で、段階的に引き上げられて令和7年度から65歳になると説明されています。検事総長だけは、もとから65歳だったということですね。

検察官の定年が、令和4年度までの63歳から段階的に65歳へ引き上げられた流れと、検事総長が一貫して65歳であることを示した図解

勤務延長はない

検察庁法第22条第2項は、国家公務員法第81条の7の規定を検察官には適用しないとしています。これは、定年に達した後も勤務を延ばせる特例のことです。

つまり、検事総長が65歳を過ぎてそのまま勤め続ける仕組みは、法律上用意されていないんです。

63歳からの決まりは検事総長には当てはまらない

検察官には、63歳を区切りにした決まりがいくつかあります。ただ、どれも検事総長は対象から外れています。

63歳の決まりと検事総長
  • 次長検事・検事長は63歳に達した日の翌日に検事に任命される(検事総長は対象外)
  • 検事・副検事は63歳以降、号の俸給月額の7割になる(検事総長は対象外)
  • 法務大臣は63歳以降の任用や給与の情報を伝えるよう努める(検事総長を除く)

検事総長は、65歳の定年まで同じ官のまま勤める形になっているということですね。

定年以外で官を離れる場面

検察官には身分保障の決まりがあります。検察庁法第25条では、定年などの場合を除いて、意思に反して官を失うことはないとされています。

意思に反して官を失う可能性がある場面(検察庁法・国家公務員法)
  • 65歳の定年に達した時(第22条)
  • 検察官適格審査会で職務に適しないとされた時(第23条)
  • 懲戒処分を受けた時(国家公務員法第82条)

検事総長の場合、適格審査で職務に適しないとされた時は、審査会の議決と法務大臣の勧告を経て官を免じられることがあります。検事や副検事と違い、「法務大臣の勧告」が入るのが特徴です。

適格審査とは

検察官適格審査会は、法務省に置かれた審査会です。すべての検察官について3年ごとに行う定時審査と、法務大臣の請求や職権による随時審査があります。委員は国会議員や裁判官、弁護士などから選ばれた11人です。

検事総長になるには?任命資格とキャリアの考え方

ここでの結論

検事総長になるには、一級の検察官に任命される資格があり、そのうえで内閣に任命される必要があります。ただし、「この道を通れば検事総長になれる」という決まったルートは公表されていません。

『検事総長になるには、どうすればいいの?』という疑問は、調べ学習の中高生にもよくあるテーマです。法律で分かることと、分からないことを分けて答えますね。

法律で決まっている資格

検事総長は一級の検察官なので、検察庁法第19条の一級の資格が要ります。代表的なのは、8年以上、二級の検事や判事補、弁護士などの職にあったことです。

一級の検察官には、検事総長のほか、次長検事・検事長と一級の検事がいます。検事総長になる人は、この資格を持ったうえで、内閣が任命し、天皇が認証するという流れです。

例えばこんな言い方をすると分かりやすくなります。「検事総長になる資格」は法律が決め、「誰を検事総長にするか」は内閣が決める、という分担です。

検事以外の経歴でも資格はある?

一級の資格には、検事として働いた年数のほかに、判事補や弁護士として8年以上働いたことも含まれます。最高裁判所の判事や高等裁判所長官などの職にあった人も、資格を持ちます。

ただ、これは法律が決めている「資格」の話です。実際に誰が任命されるかは、内閣が決めることになります。

検事の入口から一級までの流れ

検事として検事総長を目指す場合を考えると、まず検事になる必要があります。公的な情報から、入口から一級の資格までの流れを並べてみますね。

検事になってから一級の資格を得るまで
  1. 司法試験に合格する(法科大学院の修了・在学中受験・予備試験合格などで受験できる)
  2. 約1年間の司法修習を受け、いわゆる二回試験に合格する
  3. 検事に採用され、新任検事として任官する
  4. 新任明け検事、A庁検事、シニア検事と段階を踏む
  5. 二級の検事などとして8年以上たつと、一級の資格を得る

ここから先、どんな職を経て検事総長に任命されるかは、公的に示されていません。採用サイトでは、シニア検事以降に各検察庁や法務省・他省庁、留学などの経験を積み、幹部職などへ配置されると紹介されています。

気をつけたいこと

「この部署を通った人が検事総長になる」といった話を見かけることがあります。でも、そうした決まりを示した公的な資料はありません。キャリアの話は、採用サイトなど出どころのはっきりした情報で確かめてみてください。

検事総長についてよくある疑問(知恵袋より)

ここでの結論

知恵袋では「検察の幹部の序列はどうなっているの?」「特捜部は検事総長への出世コース?」「検事総長や検事長って、警察のような階級なの?」という質問が見られます。法律で決まっていることと、公表されていないことを分けて答えます。

テーマに合う質問を要約して、答えてみますね。

疑問1:法務省・検察庁の幹部の序列はどうなっているの?

「検事や法務官僚のキャリアに関心がある。法務省・検察庁の幹部の序列を知りたい」という質問です。

検察庁の中で法律から分かる序列は、検事総長、次長検事・検事長、検事正という指揮監督の関係です。俸給月額で見ても、検事総長がいちばん高く、次が東京高等検察庁の検事長です。

一方で、法務省の役職と検察庁の役職をまたいだ序列の表は、公的には示されていません。ここは「公表されていない」と答えるのが正確です。

疑問2:特捜部は検事総長への出世コースなの?

「東京地検の特捜部は検事にとって出世コースなのか。検事総長を多く生んでいるのか」という質問です。

検事総長の経歴をまとめた公的な統計は見当たらないので、「多い」「少ない」とは言えません。特捜部は、東京・大阪・名古屋の地方検察庁にだけ置かれている部です。

『じゃあ、どこに行けば有利なの?』と思うかもしれません。採用サイトで分かるのは、シニア検事以降は適性や希望をふまえた配置になる、ということまでです。特捜部の役割は特捜検事とは?で紹介しています。

疑問3:検事総長や検事長は、警察のような階級なの?

「検事総長とか検事長とか検事正って何?警官みたいに階級があるのか」という質問です。

検事総長と検事長は、法律で決まった官名です。検事正は、地方検察庁の長として検事が就く役職です。

警察のような階級の名前が一列に並ぶ形ではなく、官名と役職の組み合わせで立場が決まります。例えば「官名は検事、役職は地検の検事正」という言い方になるんです。

検事を目指す人へ

検事総長のような立場も、入口は同じ司法試験です。検事を目指すなら、まずは司法試験(予備試験)がスタートになります。

法科大学院で学ぶ道も、予備試験から受ける道もあり、独学で進める人もいます。早めに試験の全体像と勉強の進め方を知っておくと、選択肢が広がりますよ。

司法試験・予備試験の情報

検事をめざすなら、まずは司法試験・予備試験の全体像から

検事になる入口は司法試験です。受験資格の3つのルート(法科大学院・在学中受験・予備試験)や試験の日程を公式の案内で確かめて、自分に合う勉強の進め方を考えてみてください。

無料司法試験・予備試験の案内を見る

試験の日程・受験資格は法務省の最新の案内でご確認ください。

検事そのものについては検事とは?で、検事になるまでの道のりは検事になるには?で紹介しています。

よくある質問

検事総長とは何ですか?

検察庁法で決まった検察官の官名の1つで、最高検察庁の長です。庁務をまとめ、すべての検察庁の職員を指揮監督します。

検事総長は誰が任命しますか?

内閣が任免し、天皇が認証します。次長検事と検事長も同じで、この3つは一級の検察官です。

検事総長の定年は何歳ですか?

65歳です。令和5年4月1日施行の改正の前から65歳で、改正後も変わっていません。定年に達した時に退官します。

検事総長が退任するのはどんな時ですか?

法律で決まっているのは、65歳の定年に達した時の退官です。このほか、検察官適格審査会の議決と法務大臣の勧告を経て官を免じられる場合や、懲戒処分の場合があります。

検事総長になるには何が必要ですか?

一級の検察官の資格が必要で、代表的なのは8年以上、二級の検事や弁護士などの職にあったことです。そのうえで内閣に任命されます。決まった出世ルートは公表されていません。

まとめ

この記事の要点
  • 検事総長は最高検察庁の長で、すべての検察庁の職員を指揮監督する
  • 内閣が任免し、天皇が認証する一級の検察官で、全国に1人
  • 個々の事件について法務大臣の指揮を受けるのは検事総長だけ
  • 定年は65歳で、勤務延長の仕組みはない
  • 検事総長になるには一級の資格が要るが、決まったルートは公表されていない
検事ドットコム

検事ドットコム 編集部

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