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「検事」と聞くと刑事事件を思い浮かべますよね。でも、『訟務検事って、刑事事件を扱わない検事なの?』と気になった方もいるはずです。
結論から言うと、訟務検事とは、国が当事者になる民事訴訟や行政訴訟で、国の代理人として活動する法曹のことです。法務省の訟務局や、全国8か所の法務局に配置されています。
この記事を読めば、訟務検事の仕事と、刑事事件の検事との違い、法務省で働く検事の位置づけが分かります。
訟務検事とは?国の代理人として裁判に立つ検事
法務省の検事紹介ページでは、訟務検事を「国が当事者となる民事・行政訴訟で、国の代理人として活動する法曹」と説明しています。法務省が関わる裁判だけでなく、さまざまな省庁の裁判を受け持ちます。
訟務の「訟」は、訴えるという意味の字です。訟務とは、裁判に関する仕事のことなんですね。
まずは、訟務検事の基本を表で見てみましょう。
| 項目 | 中身(法務省の検事紹介ページより) |
|---|---|
| 扱う裁判 | 国が当事者になる民事訴訟・行政訴訟 |
| 立場 | 国の代理人 |
| 配置 | 法務省訟務局と、全国8か所の法務局 |
| 受け持つ省庁 | 法務省に限らず、さまざまな省庁の案件 |
| 主な仕事 | 行政庁の担当者からの聞き取り、裁判所に出す書面や証人尋問の準備 |
民事訴訟・行政訴訟とは?
『民事訴訟と行政訴訟って、何が違うの?』と思いますよね。ざっくり言うと、次のような違いがあります。
民事訴訟は、お金や権利をめぐる争いを裁判で決める手続きです。例えば、国に損害の賠償を求める裁判などがこれに当たります。
行政訴訟は、国や役所がした処分などが正しいかを争う裁判です。訴えられた行政庁の処分が法律に合っているかが、大きな争点になります。
訟務検事も「検事」なの?
訟務検事という官名が、検察庁法にあるわけではありません。法務省の紹介ページでは「法務省訟務局付」という肩書が使われています。
検察官の官名は、検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事の5つです。法務省はこの紹介を「検事の職務内容」のページに載せています。訟務検事は、訟務の仕事を受け持つ検事の呼び名だと考えておくと分かりやすいですよ。
刑事事件の検事と訟務検事をくらべると
刑事事件の検事は、被告人に対して刑事裁判を起こす側です。訟務検事は、国が訴えられた裁判などで国の立場から主張する側です。「扱う裁判」「相手方」「働く場所」の3つで並べると、違いがはっきりします。
同じ「検事」でも、受け持つ裁判がまったく違うんです。3つの点で並べてみました。

| くらべるところ | 刑事事件の検事 | 訟務検事 |
|---|---|---|
| 扱う裁判 | 刑事裁判 | 国が当事者になる民事訴訟・行政訴訟 |
| 立場 | 公益の代表者として起訴し、立証する | 国の代理人として主張する |
| 相手方 | 被疑者・被告人と弁護人 | 国を訴えた人や、国に訴えられた相手 |
| 働く場所 | 最高検・高検・地検・区検など | 法務省訟務局、全国8か所の法務局 |
| よりどころ | 検察庁法第4条、刑事訴訟法 | 法務省の検事紹介ページ |
刑事事件の検事は、検察庁法第4条で「公益の代表者」とされています。刑事事件の検事の仕事は、検察官の仕事内容で紹介しています。
訟務検事の仕事の進め方
法務省の紹介ページをもとに、訟務検事が裁判に向けて動く流れを並べてみますね。
- 国を相手にした訴えが起こされる
- 訴えの相手方になった行政庁の担当者から、事実関係を十分に聞き取る
- 行政の実務がどう行われているかも聞き取る
- 争点になった処分や行為が法律に合っているかを主張するため、書面を作る
- 証人尋問の準備をして、裁判に臨む
例えばこんな場面です。ある役所の処分について裁判が起きたら、訟務検事はその役所の担当者から「なぜその処分をしたのか」を聞き取ります。そのうえで、処分が法律に合っていることを裁判所に示す書面を作るわけですね。
仕事の進め方を刑事事件の検事とくらべると
刑事事件の検事と、仕事の段取りを並べてみると違いがよく見えます。
| 段階 | 刑事事件の検事 | 訟務検事 |
|---|---|---|
| 始まり | 警察から事件が送られてくる | 国を相手にした訴えが起こされる |
| 調べること | 被疑者や参考人の取調べ、証拠の検討 | 行政庁の担当者からの事実関係や実務の聞き取り |
| 裁判の前 | 起訴するかを決め、起訴状を出す | 裁判所に出す書面を作る |
| 法廷で | 証拠で事実を証明し、刑の意見を述べる | 処分や行為が法律に合っていると主張する |
刑事事件の検事は自分で裁判を起こす側です。訟務検事は、国の代理人として国の立場を主張する側なんです。ここが、いちばん大きな違いと言えます。
この記事は、一般的な制度の紹介です。国が相手の裁判で書面の中身や手続きが気になる時は、法テラスや弁護士会などの窓口で弁護士に相談してみてください。
法務省で働く検事:局付検事とは
検事の中には、検察庁ではなく法務省や他の省庁で働く人もいます。「局付検事」という言葉を公的に定義した説明は見当たりませんが、法務省の資料には「訟務局付」「刑事局付」という肩書の例があります。
『検事が法務省で働くって、どういうこと?』と不思議に感じる方も多いはずです。実は、検事の仕事場は検察庁だけではないんです。
検事採用サイトには、「検事の職域は広く、検察庁のほか、様々な組織で活躍しています」と書かれています。例として、刑事法の立案、財務省での業務、国際捜査の支援が挙げられています。
- 法務省で、刑事に関する法律の案を作る(刑事法の立案)
- 財務省で仕事をする
- 国際的な捜査を支援する
- 法務省訟務局や法務局で、国の裁判の代理人をする(訟務検事)
刑事法の立案とは、刑事に関する法律を新しく作ったり、改めたりする時の案を考える仕事です。捜査や裁判の経験が、法律づくりに生かされるわけですね。
検察官は法務省にどれくらいいる?
内閣人事局の統計では、令和7年7月1日現在の検事は1,983人です。この人数には、検察庁以外で働く検事も含まれています。
| 検事が働く所の例(内閣人事局の統計の注より) |
|---|
| 法務省 |
| 出入国在留管理庁 |
| 公安調査庁 |
| 内閣府 |
| 金融庁 |
| その他の省庁 |
法務省で働く検事が何人いるかは、統計の読み取りが難しく、この記事では確かな数を出せません。全体の人数は検察庁の種類と検事の人数で紹介しています。
「局付検事」という呼び方
法務省の広報誌には「刑事局付(兼東京地検検事)」という肩書の紹介があります。訟務検事の紹介ページにも「法務省訟務局付」という肩書が出てきます。
こうした例から、法務省の局に配置された検事を「局付検事」と呼ぶことがあると読み取れます。ただし、法務省がこの言葉を定義した説明は確かめられていません。
「刑事局付(兼東京地検検事)」のように、法務省の局付の肩書と、検察庁の検事の肩書が並んで書かれることがあります。法務省の局付と、東京地検の検事を兼ねているという書き方です。
検事の法務省キャリア:訟務検事はエリートなの?
検事採用サイトでは、任官後しばらくは公平さを重んじた異動をすると説明されています。6年目以降のシニア検事からは、適性や希望を踏まえて各検察庁や法務省・他省庁、留学などへ配置されます。訟務検事がエリートだと示す公的なデータは見当たりません。
「訟務検事はエリート」という話を聞いたことがある方もいるかもしれませんね。ただ、それを裏づける公的な資料はありません。
検事採用サイトで紹介されているキャリアの段階を見てみましょう。
| 段階 | 年数の目安(キャリアモデル図の例) | 主な配置 |
|---|---|---|
| 新任検事 | 1年目 | 研修の後、東京・大阪・名古屋・福岡などの地検 |
| 新任明け検事 | 2〜3年目 | A庁以外の地検本庁や大規模支部 |
| A庁検事 | 4〜5年目 | 東京・大阪・名古屋などのA庁 |
| シニア検事 | 6年目以降 | 各検察庁、法務省・他省庁、留学など |

同じサイトの別のキャリアの例では、本省の法務省刑事局への異動や、米国留学、産休・育休の例も紹介されています。法務省での仕事は、検事が積む経験の1つとして位置づけられているわけですね。
検事の役職や序列については、検事の階級・役職一覧で紹介しています。
訟務検事についてよくある疑問(知恵袋より)
知恵袋では「訟務検事になるにはどうすればいいのか」「答弁書にある『訟務官』と訟務検事は同じ意味なのか」「検事はずっと同じ担当なのか」という質問が読まれています。
訟務検事について、知恵袋で読まれている質問を要約して答えてみますね。
疑問1:訟務検事になるには、どうすればいい?
いちばん読まれていたのが、「国の代理人として行政訴訟や民事訴訟に関わりたい。訟務検事になれる道は?」という質問です。
訟務検事だけを採用する仕組みは、この記事では確かめられていません。まずは司法試験に合格し、司法修習を終えて検事に任官するのが出発点です。
そのうえで、シニア検事以降は適性や希望を踏まえて法務省などに配置されることがあります。弁護士を経験してから検事に任官する道もあり、元検事の弁護士(ヤメ検)とは?で紹介しています。
疑問2:答弁書の「訟務官」と訟務検事は同じ意味?
「国を相手にした裁判で、国の答弁書に『訟務官』とあった。訟務検事と同じ意味なのか」という質問です。
結論から言うと、「訟務官」という呼び方を公的に説明したページは、この記事では確かめられていません。訟務検事は法務省の紹介ページで「法曹」とされているので、同じものかどうかは言い切れないんです。
書面に書かれた担当者の立場が気になる時は、裁判を依頼している弁護士に確かめてみてください。
疑問3:検事は、ずっと同じ担当のまま?
「検事は取調べ担当と公判担当に分かれていると聞いた。ずっと同じ担当なのか」という質問もありました。
大きな検察庁では、捜査を受け持つ刑事部と、裁判を受け持つ公判部に分かれていることがあります。ただ、検事採用サイトのキャリアの例を見ると、1〜2年ほどの単位で勤務する庁が変わる例が示されています。
捜査、公判、法務省での仕事と、さまざまな経験を重ねていくのが検事のキャリアです。担当の分かれ方は捜査検事と公判検事の違いで紹介しています。
検事を目指す人へ
訟務検事として国の裁判を受け持つのも、検事として任官してからです。検事を目指すなら、入口は司法試験(予備試験)です。
法科大学院で学ぶ道も、予備試験から受ける道もあります。早めに試験の全体像と勉強の進め方を知っておくと、選択肢が広がりますよ。
司法試験・予備試験の情報
検事をめざすなら、まずは司法試験・予備試験の全体像から
検事になる入口は司法試験です。受験資格の3つのルート(法科大学院・在学中受験・予備試験)や試験の日程を公式の案内で確かめて、自分に合う勉強の進め方を考えてみてください。
無料司法試験・予備試験の案内を見る試験の日程・受験資格は法務省の最新の案内でご確認ください。
検事そのものについては、検事とは?で紹介しています。
よくある質問
訟務検事とは何ですか?
国が当事者になる民事訴訟・行政訴訟で、国の代理人として活動する法曹のことです。法務省訟務局と、全国8か所の法務局に配置されています。
訟務検事は刑事事件を扱いますか?
訟務検事が扱うのは、国が当事者になる民事訴訟・行政訴訟です。刑事事件の捜査や起訴は、検察庁の検事が受け持ちます。
局付検事とは何ですか?
法務省の局に配置された検事を指す呼び方として使われることがありますが、公的な定義は確かめられていません。法務省の資料には「訟務局付」「刑事局付」という肩書の例があります。
検事は法務省で働くことがありますか?
あります。検事採用サイトでは、シニア検事以降は適性や希望を踏まえて、法務省・他省庁などにも配置されると説明されています。
訟務検事はエリートですか?
訟務検事がエリートだと示す公的なデータは見当たりません。検事採用サイトでは、シニア検事以降は適性や希望を踏まえて、各検察庁や法務省などに配置すると説明されています。
まとめ
- 訟務検事は、国が当事者になる民事訴訟・行政訴訟で国の代理人をする法曹
- 法務省訟務局と、全国8か所の法務局に配置されている
- 刑事事件の検事とは、扱う裁判・相手方・働く場所が違う
- 局付検事は公的な定義はないが、「訟務局付」などの肩書の例がある
- 訟務検事がエリートだと示す公的なデータは見当たらない





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